ウラカンGT3 EVO2はパワーがないのに1周が速い!
——第4戦の富士からEVO2に変わりましたが、乗ってみた印象はいかがですか?
元嶋選手:レースウィークのフリープラクティスで初めてEVO2に乗ったんですけど、ピットロードを出たときはエンジンパワーがなくて、“壊れているのかな?”と思うぐらいビックリしました。BOPでエンジンパワーが絞られている影響なんでしょうけど、それでもコースを1周してみるとラップタイムがとても良かった。エンジンパワーがないので攻めている感じではないんですけど、クルマは安定していてタイムが速かったので、クルマのスタビリティやダウンフォースがEVO1より高いのかなぁ……と思ったのが第一印象でした。
——エンジニアの勝俣氏が“EVO1とEVO2で性格が異なる”と言っておりましたが、ドライバーもその辺りは感じていますか?
元嶋選手:性格はかなり違いますね。ウラカンGT3には初期の頃から乗っているんですが、基本的にハイダウンフォースのクルマではないんですね。ドラッグが少なくてストレートエンドで伸びてくれるようなクルマなんですけど、EVO2はダウンフォースを強くする方向に振っているので、そこがいままでとはまったく違います。これまで、いろんなGT3に乗ってきましたが、そのなかでもダウンフォースのレベルは高い。EVO1ではウラカンにもダウンフォースが欲しいな……と思っていたぐらいなんですけど、EVO2では同じ車体でここまでダウンフォースが出せるので、それくらい強くなっています。
——乗りやすくなりましたか?
元嶋選手:乗りやすくなって、ラクにはなったんですけど、掴みどころがない感じになりました。EVO1はピーキーな性格だったんですけど、ギリギリのところで掴めていた。でも、EVO2は安定指向でマイルドになったぶん、掴みどころがわからなくてタイムを出していくのが難しくなりましたね。
——日本ではどのコースに合っていますか?
元嶋選手:少なくとも富士スピードウェイに合っているとは感じませんでした。ホームストレートが長いところでは、後ろのクルマに飲み込まれてしまうことがあったので厳しかったですね。逆に鈴鹿サーキットはコーナーが続いているし、長いストレートもないので期待しています。
——いまの課題はなんですか?
元嶋選手:手探りの状態でセットアップをしているので、まだまだEVO2のいいところがたくさんあると思います。いろいろ試してEVO2のいいところを引き出すことができれば結果にもつながってくると思います。
以上、ランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO2は、空力性能と電装系の進化で、EVO1とは異なるキャラクターのマシンとなっているようだが、性能調整が行われていることから、大きなアドバンテージを持っているわけではなさそうで、前述の勝俣エンジニアは「EVO1でも十分に戦えるし、コースやコンディションによってはEVO1のほうが速いこともあると思います」と語っている。
事実、第5戦の鈴鹿ではEVO1の87号車、Bamboo Airways ランボルギーニGT3が予選で4位につけたほか、決勝でも2位に入賞。もちろん、EVO2の88号車、JLOCランボルギーニGT3も素晴らしいパフォーマンスを披露しており、予選で7位につけると決勝では4位入賞を果たすなど安定した走りを披露しているだけに、終盤戦でもJLOCが投入する2台のウラカンGT3に注目したい。