この記事をまとめると
■JLOCはスーパーGTのGT300クラスに参戦している
■第4戦から88号車をウラカンGT3 EVO1からEVO2にスイッチ
■チーフエンジニアと元嶋選手にマシンについて聞いた
88号車をウラカンGT3 EVO2にスイッチ!
2023年のスーパーGT第5戦「SUZUKA GT 450KM RACE」が8月26〜27日、三重県の鈴鹿サーキットを舞台に開催。灼熱の太陽がアスファルトを焦がすなか、GT500、GT300の両クラスで激しいポジションが展開された。
そのなかで注目を集めた一台が、GT300クラスに参戦していたJLOCの88号車「JLOCランボルギーニGT3」だと言えるだろう。
これまでJLOCは87号車「Bamboo Airways ランボルギーニGT3」と2台のランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO1を投入していたが、第4戦の富士より88号車をランボルギーニのニューマシン、ウラカンGT3 EVO2にスイッチ。日本初上陸にもかかわらず、デビュー戦となった第4戦の富士では予選で4位につけたほか、決勝でも8位に入賞するなど順調な立ち上がりを見せていたのだが、果たしてウラカンGT3 EVO2はどのようなマシンなのか? 87号車のウラカンGT3 EVO1とどのような違いがあるのか?
というわけで、JLOCで88号車、JLOCランボルギーニGT3のチーフエンジニアを担当する勝俣雅史氏にウラカンGT3 EVO2の特徴を解説してもらった。
——これまでJLOCは歴代のランボルギーニのレーシングカーでスーパーGTに参戦してきましたが、ウラカンGT3の特徴はなんでしょうか?
勝俣氏:ウラカンGT3の特徴としては、ブレーキ性能とコーナリング性能で、ほかのクルマよりも優れていると思います。
——88号車は第4戦の富士よりEVO2になりましたが、EVO1とどこが違いますか?
勝俣氏:まず、仮面(フロント)と外装がまったく違いますね。
——たしかにEVO1で両サイドの後ろにあった吸気ダクトがEVO2ではルーフに配置されていますよね。あと細かい部分では前後のバンパーも違いますし、Aピラーのところの三角窓も変わっています。並べて見比べるとかなり違いますが、やっぱり空力面でも変わってくるんでしょうか?
勝俣氏:空力面ではもろに影響を受けていますね。あとは電装系もかなり変わっています。
——スロットルの数も変わったんですよね?
勝俣氏:はい。かなり進化しています。
——逆にEVO1とEVO2で共通しているパーツはあるんでしょうか?
勝俣氏:足まわりはそのまま使えます。アップライトやアームも同じですし、ホイールも共通です。
——なるほど。空力面と電装系の進化でパフォーマンスも高くなっていると思うんですが、タイム的にはどうでしょうか?
勝俣氏:その辺りはBOPで性能が揃えられているので大きなタイム差はないと思います。
——第4戦の富士でデビューしましたが、EVO2に対してどのような印象を持ちましたか?
勝俣氏:決勝に強いクルマですよね。EVO1はキャラクター的に尖っている部分があるのでドライバーがミスしやすいんですけど、EVO2はマイルドになって乗りやすくなっているのでミスは少ないと思います。
——EVO2になって日本のコースで相性の良いサーキットはどこになりそうですか?
勝俣氏:EVO1はブレーキングとコーナリングがいいので、もてぎとSUGOが圧倒的に良かったですけど、EVO2はかなり性格が違うので、どこに合っているのか、まだわからない。チームとしても楽しみにしているところです。
——EVO2で“性格が変わった”というのは、マイルドになったという部分でしょうか?
勝俣氏:そうですね。粗いところがなくなって、乗りやすくなっている。たぶん、EVO2はプロドライバーだけでなく、ジェントルマンドライバーにも乗りやすいクルマになっていると思います。
——EVO2においての課題はなんでしょうか?
勝俣氏:まずは一発のタイムですね。あとはロングランとの両立も課題です。
以上、エンジニアの勝俣氏にランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO2の特徴を解説してもらったが、ステアリングを握るドライバーはEVO2に対してどのような印象を持っているのか? というわけで、ドライバーのひとり、元嶋佑弥選手にインプレッションしてもらった。