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ある意味クルマの違反より重い! 自転車の夜間無灯火走行は「前科」となる可能性があった (2/2ページ)

ある意味クルマの違反より重い! 自転車の夜間無灯火走行は「前科」となる可能性があった

この記事をまとめると

■夜間の自転車の無灯火走行は違反すると罰則に問われるのかを解説

■ドライバーは自転車が不安定な乗り物であることを認識しておく必要がある

■自転車とクルマは互いを思いやることができれば事故を減らすことも可能だ

たかが自転車、されど自転車……における「NGなこと」とは?

 WEB CARTOPをご覧の方々にも夜間、ライトを点けずに自転車で走っていてお巡りさんに止められた経験がある人がいるかと思います。おそらく、「厳重な注意」と「盗難車かどうかのチェック」をされたあと、自転車を押して歩いて帰った人がほとんどでしょう。

 では、注意で終わることもある夜間の自転車の無灯火走行は、どういう違反なのでしょうか? そして本来、違反したときには罰則があるのでしょうか?

 そんな疑問を解決するべく、東京都小平市のプロショップ『バイクルプラザ・ミツイキ』の店長、満生文洋さんに話をうかがいました。

「自転車は前方に白色または淡黄色で”10mの距離にある障害物が視認できる明るさ”のライトを、後方には赤色で”10mの距離からクルマのドライバーが確認できる明るさ”のライトを点灯させなければいけません。このライトのことで多くの人は『点滅させれば目立つでしょ!』とカン違いしがちなんですが、じつは点滅ではなく全点灯させなければいけないんです。また、もうひとつ勘違いがあって、後方はテールライトではなく、赤色もしくは橙色の反射板だけでもいいんです。ライトはあくまでも義務であって、反射板を装着していれば法律で罰せられることはありません」と、満生さんは語ります。

 なるほど。自転車のフロントライトを点けて、後ろに反射板を取り付けておけば「お巡りさんに止められても怖くないじゃん!」と、もしかして邪な考えをしていたとしたら、それこそ早とちりですよ。というのも、ここ最近は自転車乗りへの取り締まりはどんどん厳しくなっており、あからさまな危険走行には警察も黙っていない傾向にあるからです(数年前は湾岸の工場地帯で危険走行を繰り返していたスポーツサイクリストが検挙されましたし、最近では赤信号を無視したサイクリストが捕まりました)。

 たとえば東京都が「絶対にやめよう! やめさせよう!」と、自転車条例を設けた危険走行は下記のとおり。

*他の自転車と並んで走る。
*二人乗りで走る。
*スマホ等の画面を見ながらの走行。
*傘を差しての走行。
*飲酒運転。
*夜間や暗い道での無灯火走行。

 つまり、ライト無しでの走行は十分に危険走行になるので、警察に捕まる可能性は大いにあるのです。そして、自転車の場合やっかいなのは、クルマを運転していて交通規則を破ったら減点および罰金で済むところ、自転車には免許が必要ないために運転免許を持っていないと前科が付いてしまうこと(あくまで可能性)。

「東京都の自転車条例ではふたり乗りはやめようということになっていますが、これもまた微妙な案件で……子どもひとり乗せや子どもふたり乗せのシートが設けられた自転車であれば、幼児を乗せて走行してもいいんです。実際、ママチャリに小さな子どもを乗せたお母さんが、街なかをたくさん走っていますからね。でも、その場合の自転車には、ちゃんと耐荷重リミットが設けられていて、子どもを乗せるには最大積載量25kgでないと安心できません。荷台やフレームに明記されているので、しっかりチェックするといいでしょう。また、ライトにしても130ルーメンの”JIS企画に準拠”した前照灯がお薦めです。ライト本体のサイズがいろいろあるので、使い方に合わせて選ぶといいでしょう」とアドバイスする満生さん。

 自転車で安全に走行すると言えば、ヘルメットの着用も忘れてはなりません。今年の春、4月1日から道路交通法の改正によって、日本全国で自転車のヘルメット着用が努力義務化になりました。努力義務化が決定した頃、テレビのワイドショーなどが盛んにこのことについて取り上げていたのを覚えてる人は少なくないでしょう。当初はヘルメットを被る人が急激に増えましたが、約半年が過ぎたいまは少し落ち着いています。

「私のお店でも一時期、ヘルメットが棚から無くなっちゃうほど売れたんですけどね……。あくまでも努力義務ということもあって、ヘルメット購入率は減少しているようです。でも、自転車事故による死亡者の約8割が頭部損傷によるもの……という警視庁の統計が出ていることを考えれば、ヘルメットは努力義務うんぬんの前に被った方が良いに決まっています。自転車用ヘルメットを選ぶ際は、ダイヤルでフィット感を調整できるタイプのものがお薦めです。頭部にフィットしていないと走行中にズレて不快なばかりでなく、視界を遮ることにもなりかねないので危険ですから。フィット感が大事なので、ヘルメットはプロショップで試着して購入するといいでしょう」と満生さん。

 さらに満生さんは、加入義務化された「自転車保険の加入」についても言及。2020年に義務化された東京都を始め、32の都道府県で条例が実施されているほか、加入”努力”義務も含めると、ほぼ日本全国で賠償責任の保険加入は”もはや必須”という風潮になっています。

「2013年7月、小学5年生の少年が坂道を自転車で下っていた際、前方不注意で62歳の女性に衝突。女性は頭の骨を折って意識が戻らず、その賠償責任として約9500万円を支払うことになりました。こういう事例を鑑みると、自転車に乗る人は自転車保険に入っていたほうが良いのは当然。現在では私のお店も含めて、自転車を購入されるお客様には必ず自転車保険の加入を推奨しています。保険にちゃんと加入し、ヘルメットをしっかり被れば、心に余裕を持って走ることができます。その余裕が安全につながるのです」と満生さんは明言しています。

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