あぁポルシェって高嶺の花……でもなかった! 庶民でも買える「911じゃない」ポルシェ感たっぷりのモデル (2/2ページ)

ポルシェの4気筒エンジン・FRシリーズの中古が狙い目!

 ほかのモデルでスポーツドライビングの欲求を満たしたいのなら、ポルシェ924および944という選択もあります。

 924は1976年にポルシェのエントリーモデルとして導入された……実用性と高い操縦性を兼ね備えた……それはそれは素晴らしいクルマでした。ポルシェ初の2リッター水冷直列4気筒のフロントエンジンは125馬力を発揮し、4185×1685×1280mmというコンパクトサイズと1085kgという軽量ボディ、そしてトランスアクスルによる理想的な重量配分もあって、極めてピュアなドライビングが実現したんですが……。

 911とは違うフラットボンネット&ポップアップヘッドライトと、911とは異なるFRレイアウトのせいでポルシェファンからは不評を買ってしまうのです。しかも、フォルクスワーゲンやアウディのパーツを流用したこともあって……いくらポルシェが「コストを抑えつつ高品質なクルマを作るため」と弁明しても……ファンからは「こんなのポルシェじゃねえ!」と揶揄されてしまったのです。

 そうした失敗(?)を踏まえて、ポルシェが1983年にリリースしたのが944です。ポルシェ純正の水冷直列4気筒エンジンは2.5リッターで155馬力を発揮(1985年に220馬力の944ターボが、1987年には3リッターまで拡大して190馬力を発揮するDOHCエンジンを積んだ944Sを追加)。924を上まわる素晴らしい走行性能が魅力のFRスポーツカーだったんですが……?  やはり911とは違うということでファンには受け入れて貰えず、それどころか944はボディの80%以上が新パーツなのに924とシルエットが似ているばっかりに、「924の焼き直しなのに、なんでこんなに高いの!?」とカン違いされてしまったのです。

 こうした924と944の悪夢(?)にもめげず……RRという過去の遺産から脱却したいポルシェは、さらにFRレイアウトのスポーツカー作りを追求。そして1991年にリリースしたのが968です。フロントに積まれる水冷直列4気筒エンジンは3リッターまで拡大され、おまけにポルシェ特許の可変バルブタイミング機構「Vario Cam(バリオカム)」を吸気側に組み込むなど、かな~り力を注いだクルマ。

 しかもお洒落なカブリオレや走りに特化したCS(クラブスポーツ)といったモデルを追加するなど、ポルシェは性能だけでなく販売戦略にも気合いが入っていたですけどねぇ……。やはり人気はパッとしませんでした。

 ポルシェの4気筒FRシリーズは皆、コアなポルシェファン(マニア)には受け入れてもらえなかったという事実は、現代のセカンドマーケットにも影響を及ぼしています。924はタマ数が少なすぎてレアもの扱い(見つけることができれば相当リーズナブルか、逆にヴィンテージモデルとして高価格の可能性も!?)になっています。

 944は初期モデルなら230万円くらいから、ターボでも360万円くらいで見つけることができます(グッドコンディションだと600万円台も!)。また、968は初期型が350万円くらいからですが、カブリオレやCSはそれより100万~150万円ほどお高めで、やはりグッドコンディションだと600万円を超えます。

 いかがですか? 中古でも軒並み1000万円をオーバーする911(新車は2000万円オーバーなうえに、そもそも一般人はお金を持っていても顧客リストに入れて貰えません)と違って、数百万円台でゲットできるポルシェがあるんです。そのいずれかを買って、まぎれもないポルシェライフを満喫してくださいませ。

 もしも誰かから「ポルシェはやっぱり911でしょ!」と余計なことを言われたら、「いやぁ、純粋にポルシェのスポーツドライビングを味わいたいから、FRに(あるいはミッドシップに)したのさ」と答えればいいんです。


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