ワーゲンバスの現代版「ID.BUZZ」登場で再注目! フォルクスワーゲン・タイプ2を振り返る (2/2ページ)

ワーゲンバスをモチーフにBEVとなったID.BUZZは日本導入予定

タイプ2(2代目・タイプ2第2世代/1968年)

 1968年にフルモデルチェンジで登場したタイプ2の第2世代。主な変更はエンジンと安全性能の強化でした。

 それらは主要マーケットのひとつとなった北米市場に対応するもので、排ガス規制の強化やMTだけでなくAT仕様が追加されています。

 ただし、プラットフォームは第1世代からそのまま流用。エクステリアデザインではワーゲンバスの特徴だった2分割フロントウインドウやV字ラインは廃止。フロント・ウインドウが一枚物の曲面ガラスへ変更されました。

 また、インテリアにはソフトパッドや樹脂製品が配置され、安全性能が向上。エンジンは空冷OHV水平対向1.6リッターを搭載。その後、1.7リッターエンジンが追加され、さらには1.8リッター、2リッターと追加・変更がなされました。

 第2世代は第1世代同様、ワンボックスのみならずトラックなどを用意。そのトラックは、キャビンや荷台の形状がさらに多彩になりダンプトラックまで登場するなど、ラインアップを拡充。1974年までに約351万台が生産されています。

現代のワーゲンバスことID.BUZZ(2022年)

 タイプ2をオマージュしたBEVのワンボックスバン。タイプ2っぽいツートーンカラーがマニア心をくすぐります。

 フォルクスワーゲンが展開するEV専用プラットフォームMEBを用いた同車は、ボディ床下に最高出力150kW(204馬力)のバッテリーを配置して後輪を駆動。車重が2.4トンとヘビー級のため、最高時速は145km/hと決して速くはありません。

 ボディサイズは全長4712mm、全幅1985mm、全高1927〜1951mmと大柄で乗用車と商用車それぞれの仕様をラインアップ。乗用車版にはProとのサブネームがつくことで差別化可能です。

 BEVとして気になる航続距離は満充電時に423km。いまどきのBEVからすれば誇れる数値ではないとはいえ、レジャーや商用での使用に困ることは少ないことでしょう。

 このID.BUZZはすでに国内導入が決まっており、2024年末以降に発売が予定されています。国内では乗用車版のProが販売されるでしょうが、価格が高くなりそうなこと、巨大なボディにもかかわらず2列シートの5人乗りであるところがどう評価されるかに注目です。

まとめ

 愛くるしい見た目はもちろん、フロアがほぼフラットで広い室内スペースを持ちカスタムしやすいことから世界中で人気を得たワーゲンバス。現在、街なかで見る機会は少ないですが、アウトドアを楽しむキャンピングカーやキッチンカーなどに活用され、いまだに活躍している車両はけして少なくありません。

 昨年、登場したID.BUZZはBEVであり、ワーゲンバスとは大きく構造が異なるものの、奇しくも駆動方式は同じRR。来年、国内導入される予定のID.BUZZがワーゲンバス同様、人気車種になるかに注目です。


手束 毅 TEZUKA TSUYOSHI

フリー編集者/ディレクター

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