ライバルはロールスやベントレーのSUVではない! 新型センチュリーがこれから戦うべきは「ドレスコード」といった社会的常識だ (2/2ページ)

フォーマルにふさわしいショーファーカーを目指す新型センチュリー

 同様に、シチュエーションによっては、VIPが乗り付ける車種についてもセミフォーマルとフォーマルのようなドレスコード的な選択が求められるケースもある。

 たしかに高級ミニバンがショーファーカーとして世間的には認められつつあるが、すべてのシーンにおいてミニバンで問題ないかといえば、ミニバンはセミフォーマル的な位置づけということで、まだまだフォーマルが求められるときにはセダンであるべきといえるケースもあるだろう。

 たとえば、葬儀のようなシーンを考えると、男性が弔問するのであれば略礼服(ブラックスーツに黒ネクタイ)で問題ないわけだが、これが喪主を務めるとなると、男性の場合は正礼服(モーニング)が求められる。

 モーニング姿の喪主にふさわしいのは、やはりセダンであって、ミニバンというのはドレスコード的には認められないと判断する人もまだまだ少なくはないだろう。そうした判断基準からすると、新型センチュリーのスタイリングというのは、従来型のフォーマルとしては認めがたいという見方もできる。

 だからこそ、新型センチュリーが登場した後も、セダンのセンチュリーが継続販売されるといえる。新型センチュリーが新時代のショーファーカーとして認められるには、フォーマルな服装にはセダンであるべし、という考え方が払拭される必要があるのではないだろうか。

 それこそが、新型センチュリーが新世代ショーファーカーとして認められるかどうかのポイントであり、新型センチュリーが真の意味でセンチュリーの伝統を継承するための大きなハードルになるといえる。

 もっとも、ほんの10年ほど前まではミニバンをショーファーカーに使うことが一般的ではなく、VIPが乗っているというイメージもなかった。しかし、いまではミニバンはショーファーカーのひとつとして認められている。

 フォーマルな場にふさわしいショーファーカーとして新型センチュリーのような2BOXスタイルが認められるようになる日は意外に早く来るかもしれない。そうなれば、センチュリーセダンは役割を終え、新型センチュリーに完全にバトンを渡すことができるはずだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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