トヨタ=WRCのイメージを確固たるものに
3代目セリカ GT-FOUR(ST205)
リトラクタブルヘッドライトから丸目に変更された6代目セリカは1993年10月に登場。GT-FOURは遅れて1994年2月に登場した。
先代のGT-FOUR RCで専用装備であった水冷式インタークーラーをカタロググレードにも標準装備し、エンジンは255馬力にパワーアップ。ブレーキも対向4ピストン、リヤ対向2ピストンに容量アップされ、タイヤもインチアップされた。
このST205でもホモロゲーションモデルである専用グレードが登場。こちらは「GT FOUR WRC仕様車」という名称が与えられた。世界限定2500台、国内限定2100台で販売され、大型のリヤスポイラーやフードエアスクープなどが特別装備として与えられた。
WRCには1994年から参戦するが、この代からはなかなか苦しい戦いとなった。また、技術規定違反が問われることもあり、約2年でST205でのワークス活動は終了。その後、TTEはWRCへと復帰するが、このときはカローラでの参戦となった。1999年に7代目へとセリカはモデルチェンジするが、GT-FOURはラインアップされず。ST205が最後の「セリカGT-FOUR」となった。
カルディナ GT-FOUR(T240)
GT-FOURの名前を冠したのはセリカだけでない。トヨタの快速ツーリングワゴンとして愛された、カルディナにも与えられた。2006年に登場した3代目カルディナのトップグレード「GT-FOUR」には、260馬力を発生する3S-GTEエンジンとセンターデフ式フルタイム4WDシステムを装備、さらに上級のNエディションにはリヤにトルセンLSDが標準装備された。なお、Nエディションの「N」はニュルブルクリンクから由来している。
一説にはニュルでのラップタイムは80スープラより速かったと言われているので、カルディナGT-FOURの実力は相当なものだ。ATしかラインアップにはなかったものの、この実力と3S-GTE&フルタイム4WDというパッケージは「GT-FOUR」を名乗るにふさわしいと言える。
GRヤリスにGR-FOURを搭載へ
そして、長年の空白期間から2020年にGR-FOURという名称でトヨタの4WDスポーツは復活した。GR-FOURは多板クラッチによる前後駆動力可変システムを採用し、前後駆動力配分の自由度が大きく取られた。これにより、通常時はフロント6:リヤ4、スポーツモード時はフロント3:リヤ7、トラックモード時だとフロント5:フロント5という駆動配分を可能にしており、安定感やコントローラブルなハンドリング、そして速さと必要な場面に応じてモードを切り替えることで求める性能を実現しているのだ。
GRヤリスのトップグレード「RZ High-performance」にはリヤにトルセンLSDが装備されているあたりも、なんだかGT-FOURの面影を感じる。
単純な4WDではなく、スポーツ4WDに名付けられ続けたGT-FOUR。GR-FOURはその後継の名前にピッタリのメカニズムとドライブフィールを持ったスポーツ4WDシステムなのだ。