人間も「あだ名」をやめる時代
愛称やニックネームを使わなくなった理由としてもうひとつ思い当たるのは、「相手にあだ名を使うのはやめて、『さん』づけで呼びましょう」という現在の社会的風潮だ。
とくに学校では、2013年にいじめ防止対策推進法が施行されてから、そうした指導が行われることが増えたという。あだ名は身体的な特徴や癖などからつけられることが多く、あだ名で呼ばれた人が不快に感じれば、それはいじめ行為にあたるというものだ。
クルマの愛称も見た目の特徴に由来したものがほとんど。なかには「ブタケツ」(2代目日産ローレル)や「ブタ目」(3代目トヨタ・コロナマークII)といった、愛称というより蔑称といったほうがよさそうなものも確かにある。「あだ名禁止」には賛否両論あるが、相手をいじめるつもりはけっしてなくても、知らず知らずのうちに嫌な思いをさせるとしたら、もちろんいいことではない。
部下に軽く注意をしても、女子に「かわいいね」といっても、ややもするとハラスメントといわれる時代。クルマが愛称で呼ばれることは、今後ますますなくなるのかもしれない。何とも世知辛い世の中である。