この記事をまとめると
■トラックは大きく重いために冬場のタイヤチェーンの脱着は一苦労
■海外メーカーが開発したスイッチひとつでチェーンの脱着ができる優れものがある
■ドライバーの負担だけでなくチェーンの摩耗軽減にも繋がる
タイヤに巻くのではなく路面とタイヤの間に入り込ませる
全国各地を駆け回り、ニッポンの流通の中核を担うトラックにとって、冬の走行時に欠かせないアイテムがスタッドレスタイヤもしくはオールシーズンタイヤ。雪道を安全に走るための必須装備だが、急な坂道やアイスバーン、一部の高速道路など、地域または環境によっては、タイヤチェーンを装着しなければいけないシーンにも遭遇する。車体が重く大きく、タイヤも大きなトラックにチェーンを装着するのはそれこそひと苦労だ。
そんな雪道を走るトラッカーたちに朗報。走行中にスイッチひとつで着脱できる、トラック専用のタイヤチェーンが登場したのだ。その名は「ロトグリップ」。金属製タイヤチェーンの老舗、ドイツのルッド(RUD)社が開発したこのチェーンは、従来品のようにタイヤ全体にチェーンを手作業で巻くのではなく、チェーンを放射状に装着したラバーホイール(ゴム製の円盤状のパーツ)をタイヤ内側にセットした専用のスイングアームでタイヤ側面に押し付け、回転させることでチェーンを遠心力で張り出させ、そのチェーンがタイヤと路面の間に入り込むことでタイヤのグリップ力を向上させるという、まったく新しい発想のメカニズムを備えたモデルになっている。
大型トラック専用のタイヤチェーン「ロトグリップ」画像はこちら
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金属チェーンを放射状に装着したラバーホイール(左)を専用のスイングアームでタイヤ側面に押し付けて回転。遠心力で張り出したチェーンがタイヤと路面の間に入り込むことでグリップ力を高めている。走行中に絶えずチェーンが入り込むためそのグリップ力は持続するわけだ。
チェーンの着脱は車内に装備したスイッチのオン/オフで完結。アイスバーンや圧雪といった滑りやすい路面に近づいたらスイッチをオン、スタッドレスのみでOKな路面ではオフといった簡単な操作でチェーンの展開と収納が可能になっている。これまで路上や高速や国道のチェーン装着エリアで多大な手間をかけて行なっていた着脱作業も簡略化され、体力的負担も軽減されるのはドライバーにとって嬉しい限りだ。従来のチェーンでは雪や氷のない路面に出てもそのまま走行し、チェーンの寿命を縮めていた、というケースもあったはず。ロトグリップならそんな問題もスイッチひとつで解消。結果的にランニングコストも軽減されるはずだ。
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チェーンの着脱は車内に設けたスイッチをオン/オフするだけでOK。従来品のような停車して車外に出てチェーンを着脱するという面倒な作業も解消されるわけだ。
ラインアップは現行のエアサス装備車専用の「CS」と2023年式以前のエアサス車とリーフサス装備車輌に対応する「CV」の2タイプ。購入および装着は国産・輸入トラックの各ディーラーでの対応となる。
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ロトグリップCS(Compact Solution)。装着スペースの限られる現行のエアサスペンション装備車に対応したコンパクトモデル。価格66万円(工賃別)。
従来のタイヤチェーンの常識を覆す、まさに革命的なシステムのタイヤチェーン、ロトグリップ。北国のみならず、全国で働くトラッカーたちの安全を守る強い味方になってくれるに違いない。
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ロトグリップCV(Classic Version)。2003年式以前のエアサス装備車とリーフサスペンション装備車に対応したスタンダードモデル。価格47万3000円(工賃別)。