この記事をまとめると
■話題を集めている新型センチュリーのディテールでスゴいところを解説
■ミリ波レーダーのカメラを仕込んだ鳳凰エンブレムと11工程からなる鏡面仕上げのボディは圧巻
■ボディサイドにそれぞれ設けられた燃料&充電リッドが左右非対称なのが余計に気になる
ショーファーカーの新しい形を提案する新型センチュリー
次の100年を見据え、「ザ・ショーファー」をコンセプトに開発されたトヨタの新型センチュリーが話題を集めている。
事前予想ではセンチュリークロスオーバー的なSUVスタイルになるという評判だったが、蓋をあけてみればショーファーカーの新解釈といえるまったく新しいパッケージングから生まれたと理解するほかない、非常にユニークなフォルムのクルマとなっていた。
スタイリングは、たしかにセンチュリーの世界観を表現するもので、全長こそ併売されるセダンのセンチュリーより130mm短い5205mmとなっているが、全幅はセンチュリーセダン比でプラス60mmの1990mm、全高はアルファードまであと130mmと迫る1805mmとなっている。
FFベースのプラットフォームとしていることもあって、ホイールベースはセンチュリーセダンより短い2950mmだが、後席スペースを拡大しているのは、新型センチュリーのショーファーカーとしての理想的なパッケージを目指したことの証左といえるだろう。
パワートレインは3.5リッターV6エンジンを軸に、前後をモーターで駆動するプラグインハイブリッド。カタログスペックでは69kmものEV走行が可能というのも、ゼロエミッション時代のショーファーカーとしてふさわしい。
そんな新型センチュリーは、専属のプロドライバーが運転することを前提としているため、先進運転支援システムについてはアピールポイントとはならないが、ドライバー異常時対応システムを含む「トヨタセーフティセンス」が標準装備となっている。後席に乗るVIPを守るために二重の安全装備が用意されているといえるだろう。
とはいえ、新型センチュリーのフロントまわりを見ても、先進運転支援システムの肝となるミリ波レーダーを見つけることは難しいだろう。
先に答えをいえば、フロントグリル中央、センチュリー伝統の「鳳凰」エンブレムの裏側にミリ波レーダーはレイアウトされている。この手の先進運転支援システムに詳しい人であれば、ミリ波レーダーをカバーする部分はレーダーの干渉を防ぐためにフラットな樹脂製となっていることが多いことを知っているはずだ。
しかし、新型センチュリーでは専用に起こした金型でつくられた立体的な鳳凰エンブレムが鎮座している。「ミリ波レーダーを隠すのでノッペリとなっちゃいました……」という言い訳なしにセンチュリーの世界観、上質さを妥協なく表現しているのは、フロントグリルの鳳凰エンブレムというディテールからもビンビンに感じられるのだ。