シビックもダメじゃないけどやっぱりNSXだよなぁ! デビュー時から伝説しかない「NSX」の「GT参戦」を振り返る (2/2ページ)

NSXは市販車の登場とともにレースシーンへ復活を果たす

 スーパーGTに再びNSXが帰ってきたのは、2014年になってからで、NSXのコンセプトモデルをベースとする「NSXコンセプトGT」を投入し、第5戦の富士で、童夢の山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィが同モデルでの初優勝を獲得。2015年にはTEAM KUNIMITSUの山本尚貴/伊沢拓也が第6戦のSUGOを制するなど再びNSXを武器にホンダ勢が躍進した。

 2016年は未勝利に終わったが、「NSX-GT」を投入した2017年はARTAの野尻智紀/小林崇志が第5戦の富士を制覇したほか、NAKAJIMA RACINGのベルトラン・バケット/松浦孝亮が第6戦の鈴鹿を制覇。さらに2018年には第6戦のSUGOを制したTEAM KUNIMITSUの山本尚貴/ジェンソン・バトンがドライバー部門でチャンピオンに輝くほか、TEAM KUNIMITSUがチーム部門を制するなど、NSXが3度目の二冠を達成した。

 ちなみに2018年はARTAの野尻智紀/伊沢拓也が計2勝をマークしたほか、REAL RACINGの塚越広大/小暮卓史が開幕戦の岡山を制するなどNSXが躍進していた。

 2019年は未勝利に終わったが、新型コロナウイルスの影響により変則的なシーズンとなった2020年にはTEAM KUNIMITSUの山本尚貴/牧野任祐が最終戦の富士を制してドライバー部門でチャンピオンに輝いたほか、チーム部門においてもTEAM KUNIMITSUがチャンピオンに輝いた。

 2021年もARTAの野尻智紀/福住仁嶺が2勝、TEAM KUNIMITSUの山本尚貴/牧野任祐が第4戦のもてぎ、REAL RACINGの塚越広大/ベルトラン・バケットが第2戦の富士を制するなどNSXが計4勝をマークし、勝率5割を達成。

 さらに2022年にはTEAM KUNIMITSUの山本尚貴/牧野任祐が最終戦のもてぎを制するほか、REAL RACINGの塚越広大/松下信治が第7戦のオートポリスを制するなど、NSXの強さは続いていた。

 そして、NSXのラストシーズンとなる2023年もホンダ勢の活躍が続いており、第2戦の富士でTEAM KUNIMITSUの山本尚貴/牧野任祐がポールポジションを獲得したほか、ホンダのホームコースでのラストランとなる第5戦の鈴鹿ではARTAの福住仁嶺/大津弘樹がポール・トゥ・ウインを達成した。

 まさにNSXはホンダのGTレーシングのシンボルであり、記憶にも記録にも残る名勝負を繰り広げてきただけに、ホンダのドライバーたちにとっても“NSXの引退”には万感の思いがあるようで、TEAM KUNIMITSUで100号車「STANLEY NSX-GT」のステアリングを握る牧野任祐によれば「2016年にGT500にデビューしたときからNSX-GTに乗ってきたので、いろんな思い出がありますね。チャンピンを獲らせて貰えたので、もっとも印象に残っているのは2020年ですが、2021年は最終戦で嫌な終わり方をしているので悔しい思い出もあります」とのこと。

 そのうえで「NSX-GTはコーナリングマシンで、予選のアタックはフォーミュカーと変わらないフィーリングを持っているほどパフォーマンスが高い。アタック中はハコ車に乗っている感覚がないぐらい速いマシンです」と改めてインプレッションしている。

 一方、ARTAで8号車「ARTA MUGEN NSX-GT」のステアリングを握る野尻智紀は「GT500クラスにデビューしたときからNSXで戦ってきたので、いろいろな思い出があるんですけど、チャンピオンを獲れていないので、どちらかと言うと悔しい思い出のほうが強いかもしれません。チャンピオンを獲れていないので、ぜひ、今年はタイトルを獲りたいと思います」とのこと。

 そのうえで、NSX-GTのパフォーマンスについて「いまはGRスープラもZも小さくなって、ドラッグという部分ではNSXが多くてストレートスピードが稼ぎにくい部分はあると思うんですけど、ダウンフォースが強くてコーナリングスピードは高い次元で維持できるクルマですね」と分析する。

 NSXがスーパーGTで戦うのは残り3戦。どのようなフィナーレを飾るのか、NSX伝説の最終章に注目したい。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
趣味
登山
好きな有名人
石田ゆり子

新着情報