センチュリーにSUVってマジか! と思ったら世界にはSUVタイプのショーファーカーが多数存在していた (2/2ページ)

欧州にはSUVのショーファーカーが多い

 日本でもここ最近、ラグジュアリーを極めたアウトドア施設、たとえばグランピング施設が続々と登場している(星野や富士など)。つまり、ロールス・ロイスを所有するクラスのユーザーだって、日々、都会にいるわけではなく、空前のアウトドアブームもあって、休日には、ときには道なき道を行く冒険旅行に出かけることもあり、また、山奥のラグジュアリーを極めた別荘へのアクセスに、天候、路面状況によってはSUV、4WDが不可欠となることもありうる。超高級車=絶対セダンタイプ……という概念は、すでにない。メルセデス・ベンツのゲレンデがセレブに圧倒的な人気を誇るのも、より広い世界を体験するためではないか。

 実際、世界的に見ても、ショーファーカー×SUVは少なくなく、ベントレー・ベンテイガ、室内の豪華さではカリナンなどに比べやや劣るもののキャデラック・エスカレード、こうしたジャンルの先駆者でもある”砂漠のロールス・ロイス”として、英国はもちろんアメリカ西海岸のセレブにも圧倒的な支持を得ているランドローバー・レンジローバー、3列シートのプレミアムSUVを2列シート化したボルボXC90エクセレンス(~2020年。新車価格1359万円。現在は生産終了。中古車で入手可能)などがあり、ちょっと世界観は異なるが、フランスのDS7も、フランス大統領の公用車として使われる(DS7クロスバックのホイールベースを200mm伸ばしたDS7クロスバック・エリゼ)ショーファーカーとしてオシャレ度も抜群だ。

 話を新型トヨタ・センチュリーに戻せば、まさに和製カリナンではないか。センチュリーをショーファーカーとして使っている人も、冬の白銀の世界となった軽井沢のラグジュアリーな超高級ホテルや別荘に出向くことはあるだろうし、ドラマ「ウソ婚」のロケ地となったシーサイドテラス千葉鴨川(スイートヴィラ1棟約12万~20万円)のようなエクスクルーシブなグランピング施設で魂を解放することだってあるだろう。

 しかし、そんなシーンにおいて、セダンタイプが似合わず、といって後席で寛ぎつつ移動するショーファーカーとして、最強の信頼性、走破性を誇るトヨタ・ランドクルーザーでは物足りない……。そう、トヨタの多様性を重視したこれからのクルマ造りを、クラウンクロスオーバーとともに具現化するのが、超高級ショーファーカーにして高い全天候型の走破性能まで叶えてくれるのが、新型センチュリーの存在意義ではないだろうか。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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