この記事をまとめると
■世の中には「上には上」がおり、それはクルマの世界にも当てはまる
■それまでハイエンドとされていたモデルにさらに高性能な特別仕様車が追加されることは珍しくない
■「上には上がいる」モデルは総じて中古車価格が爆上がりしている
さらに高性能なモデルが登場するのはスポーツカーの宿命
「上には上がいる」、世の中の定説ですが、むろんクルマの世界にも通用するものかと。自分のクルマが最高だと思っていると特別仕様車が登場したり、マイナーチェンジでパワーも装備もグレードアップしていたり、などは日常茶飯事。とはいえ、メーカーからリリースされた時点でトップモデルとされたにもかかわらず、さらに「上が出る」というのは解せないもの。そんなトップモデルのさらに上に位置するモデルとやら、実力とか裏側を見せてもらいましょう。
BMW M3CSL
2003年に発売されたM3CSLは1383台のみが生産された限定モデル。名前のとおり、もともとは2000年にリリースされたM3(E46)の「上」をいく位置づけです。
M3CSLが出るまでは、Mというバッジがつくだけでハイエンド、すなわち3シリーズの頂点を極めるモデルだったはず。ですが、BMWとしてはカスタムやチューンアップの余地がある、あるいは「やり残した」プランがあるとして、CSLのリリースに踏み切ったと思われます。
うがった見方ですが、BMWの常套手段「モデルチェンジ前に花火(M3CSL)を打ち上げて」シリーズのテコ入れを狙ったという向きもあるようです。
まずはそれまでのエンジン「S54B32」から、いわゆるファインチューンが施された「S54B32HP」に換装し、343馬力から360馬力にパワーアップ。カムプロファイルやバルブの軽量化といったチューンに加え、バイエルンのエンジン職人が得意なパターンで、コンロッドやクランクの精査と手組(クラフトマンならではの微妙なトルク管理などノウハウを含みます)が奏功しているはず。
また、CSLのアドバンテージは、エンジンパワーに加えて大幅な軽量化にとどめを刺します。応力担体とならないパーツ、すなわちルーフトップやフロントバンパー、あるいはスポイラー付きのトランクフードがCFRPあるいはグラスファイバーに変更。さらに、インテリアも徹底的に軽量化が施され、車重はノーマル比110kg減の1430kgを達成しています。
ここまで軽くなっていると誰が乗ってもその差を感じられるもので、CSL(Coupe Sport Licht)の名にふさわしい出来ばえといえるでしょう。