56年の歴史に新たに加わった新型センチュリーはSUVではない! 次の100年を見据えた22世紀のショーファーカーだった (2/2ページ)

価格は2500万円〜でさまざまなオーダーにも対応可能

 パワートレインについては、現時点でショーファーカーに求められるウェルバランスを考えたという。完全なゼロエミッションは、この秋に登場するクラウンセダンFCEV(燃料電池車)に任せつつ、従来からのセンチュリー(センチュリーセダンとして継続販売される)と同じような大排気量V8エンジンのハイブリッドでは、環境性としては物足りない。

 そこで新型センチュリーは、3.5リッターV6エンジンの電気4WDハイブリッドに外部充電機能を加えたプラグインハイブリッド仕様を採用することになった。普通充電にのみ対応するバッテリーを満充電にしておけば、カタログスペックで69kmをエンジンを使わずゼロエミッションで走行可能だという。

 都市部におけるセンチュリーの使われ方を調査したところ、1日の平均的な走行距離は50kmだったという。新型センチュリーは日常的には排ガスを出さないゼロエミッションのショーファーカーになり得る。一方で、遠出が必要になればハイブリッドカーとしてどこまでも走っていくことができる。

 新型センチュリーのWLTCモード燃費は14.2km/L、燃料タンク容量は55リットルとなっているので、バッテリーでの走行分を加味すれば、ノンストップで800kmを走れるだけの実力を持っている。

 ちなみにエンジンはフロントに横置きされ、サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式で、リヤがマルチリンク式。基本的な設計としては、トヨタの中型モデルに多く使われているGA-Kプラットフォームの発展形といえるが、ほとんど専用設計になっているといっていいだろう。

 新型センチュリーはモノグレードで、気になるお値段は2500万円。これだけでも十分に高いと思ってしまうが、モノグレードなのはテーラーメイド的にさまざまな仕様を作り上げられるための”ベース車両”という位置づけともいえそうだ。

 実際、発表会では真っ赤なブレーキキャリパーが印象的なGRMN仕様も展示。通常の新型センチュリーはヒンジドアだが、こちらの特別な仕様ではスライドドアになっていた。こうしたオーダーには実際に対応可能だという。

 また、プレゼンテーションではパレード用のコンバーチブル仕様の構想もあることが示された。ショーファーカーに必要なバリエーションは全方位対応するということだろう。

 トヨタ・センチュリーに期待されるハイクオリティのオーダーメイドに対応するというのも、また100年先を見据えたショーファーカーのあるべき姿なのかもしれない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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