この記事をまとめると
■物流業界では働き方改革が進んでいる
■時間外労働を抑制する制度が来年施行され、人手不足が懸念されている
■そんな人手不足を解消するために中継幹線輸送という方式が注目されつつある
人手不足解消のため中継幹線輸送に注目が集まる
安倍内閣時代の2018年に、働き方改革と一般にいわれる働き方改革関連法が成立し、翌2019年から施行された。このうち、暮らしを支える物流に関しては、来年2024年4月から、時間外労働を960時間以内に抑える適用がなされる。これが、最近話題の2024年問題だ。
そもそも、物流業界ではトラック運転手の労働時間の過剰が見過ごされてきた。それが厳密に管理されることになる。
そのうえで、トラック運転の担い手不足もあり、少ない人数で、時間外労働を少なくして、既存の物流を維持するのが困難になろうとしている。身近な例で言えば、宅配便が翌日に届くといったことは難しくなる可能性がある。
それらを解決する一手段として、空荷での走行をなくすことが模索されており、一部では実施されているが、往路と復路で荷物を満載にするのは案外難しい。帰りのトラック便にも荷物を満載するためには、行きのトラック便の経路や時間に合わせて、帰りの荷物の集荷をしなければならず、一方、荷を出したい人の都合はそれとは別に生じるからだ。
それでも、荷主の業界を超えた取り組みにより、空荷での走行を減らす試みが行われようとしている。さらに別の対応策が、中継幹線輸送だ。
たとえば、東京~大阪といった主要幹線での大型トラックやトレーラーを使った輸送に際し、中間地点となる静岡あたりに荷物の受け渡し場所を設け、ここで東京から、または大阪から荷物を運ぶトレーラーのコンテナを交換し、再び東京または大阪へ戻る仕組みだ。
トレーラーであれば、トラクターヘッドとコンテナを連結しなおすだけで荷の交換ができる。
そしてトラック運転手は、片道半分の距離を往復するだけで仕事を終えられる。つまり、ひとりで東京~大阪間を往復するのに比べ、運転距離が約半分で済み、そこで一旦仕事を終えられるのである。また、空荷での運行をなくすことにもつながる。そして、1日の連続労働時間を半減できる。それでいながら、荷物は、これまでどおりの時間で相手先へ納品できることになる。
これを実現するには、主要幹線高速道路上やその近隣に、トレーラーのコンテナを付け替える拠点が必要になる。できることなら、高速道路上に拠点を設けることが理想だろう。ETCゲートが順次導入されているように、ETCを活用すれば、上りと下りのサービスエリアなどを拡充し連結することで、物流用の中間拠点を設けられるかもしれない。
過去、東名高速道路では途中でのUターンを防止するため、高速券の検札ゲートを設けたことがあった。ETCが普及することで廃止されたが、それをより拡大活用することで、物流の2024年問題の解決の糸口になれば、消費者にとってもインターネット売買をこれまでどおり便利に利用できる道が開けることになる。