この記事をまとめると
■1996年にトヨタはトヨダAA型をオマージュしたトヨタ・クラシックを発売
■トヨダAA型にサイズが近かったトヨタ・ハイラックスをベースとしていた
■トヨタ・クラシックのフロントマスクのピックアップトラック「TCピックアップ」も発売された
トヨタ自らの手によって蘇らせられたレガシィ
先日、再び日本国内でも販売されることが正式にアナウンスされたランドクルーザー70など、当時感のあるクラシカルな雰囲気を纏ったモデルというのは、いつの時代も高い人気を誇っている。
そのため、アフターパーツメーカーなどでは、高年式の車両をベースに当時風のルックスに変貌させるキットなどもリリースされているが、それをメーカー自ら手がけたのがその名もズバリ「トヨタ・クラシック」である。
1996年6月に発売されたトヨタ・クラシックは、トヨタの市販車生産60周年記念車として企画されたモデルであり、1936年に完成し発売した初の純国産乗用車、「トヨダAA型」をモチーフとして100台程度が作られたもの。
架装を手がけたのはトヨタテクノクラフト(現トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)であるが、ボディワークは職人の手によるカーボンファイバー製のものがおごられており、ほぼハンドメイドということもあってか、車両本体価格は800万円とかなりの高額車となっていた。
そんなトヨタ・クラシックであるが、ベースとなっているのは、なんとトヨタのピックアップトラックであるハイラックス(5代目モデル)のダブルキャブ仕様となっており、エンジンもベースに搭載されている2リッターの直列4気筒OHVガソリンエンジンで、車検証上の車両型式も「YN86改」だった。
※写真はハイラックス・エクストラキャブ
これはハイラックスのシャシーの寸法がオリジナルのトヨダAA型に近いものだったため白羽の矢が立ったもので、ハイラックスを感じさせるのはキャビンまわりのピラーの形状やインストゥルメントパネル程度。
もちろんシートは本革の表皮がおごられ、フロアマットも毛足の長い高級感溢れるものに変更されていて、800万円の価格にふさわしいものとなっていたが、唯一標準のオーディオだけは、ヘッドユニットに小さなスピーカーが埋め込まれたAMラジオとなっていた点にハイラックスを感じさせた。
なお、トヨタテクノクラフトでは、のちにこのトヨタ・クラシックのフロントマスクのデザインを流用し、後部はピックアップトラックのままという「TCピックアップ」というモデルをリリース。こちらはトヨタ・クラシックのようなシックな塗り分けではなく、ビビットなカラーを纏って往年のアメリカンピックアップのイメージとして販売されていた。
ただこちらは6代目ハイラックスのシングルキャブ(RZN147型)がベースとなっており、エンジンも2リッター直列4気筒SOHCの1RZ-E型になっているなど、一新されていることは意外と知られていない事実かもしれない。