クルマは「仕事のネタ」……だけど「思い出生産機」! 【クルマのプロに聞く! あなたにとってのクルマとは? 石橋 寛編】 (2/2ページ)

クルマでの移動は思い出も多く残りがち

 ちなみに、クルマでの移動(ドライブ)と比べ、電車やバス、はたまたタクシーのそれは言うまでもなく運転という行為に欠けるため、先週のことでも記憶は薄っぺらくなりがち。また、領域展開の深度(造語です)が浅いことも思い出になりづらい要因に違いありません。

 これは、クルマの乗員空間に対して、バスや電車はよほど広い空間が確保されているわけで、その分だけ思い出要素、つまり匂いや景色、あるいは動きそのものまで薄められるからだと考えます。平たく言えば、自分のクルマをぶっ飛ばして、大好きな彼女と一緒に遠くの海岸まで出かけた記憶と、ロマンスカーでほっこり温泉まで出かけた記憶とでは、似たような記憶だとしても、刻まれたものが大いに違うということ。

 むろん、クルマ以外にもステキな思い出や、経験を生み出してくれるものはたくさんあるでしょう。また、クルマを運転していても思い出のカケラすら転がってないという方だって少なくないはず。ですが、クルマ好きであれば、どのような種類であろうと思い出や経験値が他とは代えがたいものであること、おわかりいただけるかと思います。

 この原稿を書きながら、そんなことに気づけたことを幸せに思い、これからもどんどん思い出や経験を得ていきたいとつくづく感じています。もっとも、思い出や経験値とかきれいごと並べていますが、筆者の場合はそれがギャラに直結していること、本能的にわかっているからに違いありません。

 やっぱり、クルマはどこまでいっても「仕事のネタ」に変わりがなかったわけですね(笑)。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

文筆業

愛車
三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
趣味
DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
好きな有名人
マルチェロ・マストロヤンニ/ジャコ・パストリアス/岩城滉一

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