世にも珍しいスライドドアではないワンツードアもあった
3台目は、かつてトヨタが「ユニバーサルデザイン」に力を入れていた頃、ラウムに続く第二弾として2004年に登場したポルテの、2012年にフルモデルチェンジした2代目モデルです。
5ナンバーサイズのトールワゴンで、初代は右側は運転席のヒンジドアのみ、左側は大開口のスライドドアのみという、左右非対称ドアを採用していたのですが、2代目は右側が前後ともヒンジドア、左側がスライドドアのみというワンツードアタイプになりました。
このタイプはなかなか珍しく、後席がふかふかのソファのようなベンチタイプで、座面が跳ね上げて格納できるようになっていたのがポイント。そのため、コンパクトなボディでもスライドドアから自転車が積み込めるなど、人だけでなく荷物がたっぷり積めるのも魅力的でした。
2代目には兄弟車として、ちょっとカスタムされた外観の「スペイド」もありました。
4台目は、BMWが手がけるようになって初めて登場したMINIクラブマン。クラシックMINIの時代のワゴンタイプのクラブマンへのオマージュが込められたデザインで、バックドアが観音開きになっているのが大きな特徴です。
そのドアもユニークで、右側は前後のドアが観音開きでガバっと開き、左側はヒンジドアがひとつのみというワンツードアタイプ。
これは、猟犬をともなって狩りに出かけていた貴族が乗っていたという、シューティングブレークをコンセプトとしていたからで、愛犬を後席に乗せやすくしたり、ドアを開けたときに飛び出しにくいようになっているという話。現行モデルのクラブマンは、左右とも前後ヒンジドアになっていますが、初代はMINIの遊び心を感じる1台ですね。
ということで、ワンツードアはほとんどが1代こっきりで消えているところを見ると、やはり使い勝手の面では左右対称のドアがいいということになりそうですが、デザイナーのこだわりやメーカーの想いが込められていることが感じられるポイントのひとつではないでしょうか。これからも語り継がれていってほしいです。