次世代モデルの提案と上顧客へのおもてなしで製作される
2005年にはコクピットを運転席と助手席で完全に分割したオープントップモデルの「コンセプトS」がルーク・ドンカーヴォルケの手によって生み出された。
また、翌2006年にはアウディ・グループのデザイン責任者を務めていたヴァルター・デ・シルバが、あのミウラを現代的なライン構成で明確に再現した「ミウラ・コンセプト」を発表するなど、ランボルギーニのワンオフモデル戦略も徐々にその勢いを取り戻してきた。
そして2007年には、ムルシエラゴLP640-4をベースにした「レヴェントン」を20台の限定車として販売。2009年には16台のオープントップ仕様も製作され、ランボルギーニのフューオフモデルにも徐々にカスタマーの視線が集まるようになってきた。
2008年発表の4ドアサルーンコンセプト、「エストーケ」は現在でも多くのカスタマーからその生産化が望まれている一台だ。
そのデザイン・コンセプトは、一部最新のコンセプトカー、「ランザドール」にも感じることができ、それがランボルギーニの言う「ウルトラGT」の起源となっていることをよく理解させてくれる。ちなみにランザドールはフルEVとして今後数年内にデビューする予定だ。
2010年にデビューしたセストエレメントは、究極的な軽量化を目的に、すべてのボディパネルと内装の構成要素を含むコンポーネントにカーボンファイバーを使用。じつに999kgという車重と1.75kg/馬力のパワーウエイトレシオを達成したモデルだ。
ランボルギーニがカウンタックの時代からカーボンという軽量素材に着目し、その研究を開発したことはすでに触れたが、現在では彼らはこの分野ではすでに世界のリーディングカンパニーであるのだ。
「ヴェネーノ」、「アステリオンLPI-910」、そして「チェンテナリオ」。ランボルギーニは2000年代半ばになると、続々と魅力的なフューオフモデルを発表していった。
2019年には初めてのハイブリッド車となる「シアン」を、63台のクーペと19台のロードスターという構成でデリバリーしているし、そのシアンのメカニズムを流用した「カウンタックLPI800-4」は、1970年代のカウンタックのプロジェクト名にちなんで112台が生産された。
また、最近ではカスタマーレーシング部門のコルセ・クリエンティの手によるワンオフ・モデル、「SC18アルストン」、「エッセンサSCV12」、「SC20」なども登場し、話題を呼んだ。
そして2023年、ランボルギーニは電気を使用しない、すなわち非ハイブリッドの2台のワンオフモデルで、アヴェンタドールの生産を終える決断を下した。いずれのモデルもベースはアヴェンタドールSVJで、各々「インベンシブレ・クーペ」と「オーテンティカ・ロードスター」と呼ばれる。
ランボルギーニの60年にわたる歴史のなかで、さまざまモデルが生まれ、そして見る者の目を楽しませてくれたランボルギーニのワンオフ、そしてフューオフモデル。現存するならば、それらの存在はもちろん貴重だ。