この記事をまとめると
■現在販売されているクルマのほとんどのブレーキは油圧で作動する
■ブレーキを作動させるオイル「ブレーキフルード」にはDOTやDOT4という規格がある
■ここ数年で自動ブレーキなどに最適なクラス6という新しいブレーキフルードが増えてきた
ブレーキフルードも年々進化していた!
ブレーキは昔も今も油圧を使用していて、最新のブレーキでは電子制御のサーボが効く範囲はかなり広いが、ベースはあくまでも油圧がほとんどである。以前、モーター作動のブレーキを装着したクルマもあったが、トラブルが出てあえなく消滅。油圧のほうがシンプルで信頼性が高いということで、大きな変化なしに現在に至っている。
油圧式はとてもシンプルで、簡単に言うとふたつの注射器がホースでつながっていて、中に作動油(フルード)が入っているというような仕組みになる。片方の注射器を押すと、もう片方の注射器のピストンは押されて出てくるのは想像できると思うが、注射器がペダルやキャリパー、ドラムブレーキのホイールシリンダーになっただけだ。
メンテナンス的にはキャリパーやホイールシリンダーのオーバーホール以外に、作動油であるブレーキフルードの交換がある。最近のクルマは10万kmぐらい走らないとオーバーホールは不要である一方、ブレーキフルードは車検ごとの交換が推奨されていたりする。
サーキットを走ったり、DIY派のなかには自分で交換する人もいるが、その際に気になるのがフルードの規格だ。DOT3やDOT4というのがそれで、耐熱性や吸湿性のレベルによって数字が変わってくる。これは長年変わらないことなのだが、数年前から徐々にクラス6という規格が増えてきたのはご存じだろうか。
この規格の特徴は、DOT4LVとも呼ばれ、LVとはロー・ビスコシティの略で、低粘度を表していることからわかるように、従来のフルードよりもサラサラしているのがポイントだ。なぜ今、新しい規格が登場するのかと言うと、その背景にはブレーキ系の電子ディバイスの普及がある。
信号などで減速する以外にも、今ではコーナーでの飛び出しを防ぐために片輪だけにブレーキをかけたりするのは当たり前になっているのはご存じのとおりで、ブレーキの重要性はかなり増している。そのため、ブレーキの作動を確実かつ素早くするためには低粘度が重要になってくるわけだ。また、低粘度なので、本来は粘度が高くなりがちな冬場の作動でも有利になる。
現在、クラス6、DOT4LVは欧州車を中心に純正採用が増えていて、今後も拡大していくのは確実だ。なお、指定でない従来のブレーキにも使用できるので、興味がある方はスタッフとの相談のうえ、使ってみるのもいいだろう。