コーナーでイン側に向きすぎたときにリバースに入れる
ドリフト競技では「直ドリ」という技が使われますが、それはラリーでのフェイントモーションを応用した技といえるでしょう。難しいのは直線での慣性力を利用して減速と旋回を同時に行なうので、目測を間違えると手前で向きが変わり過ぎてしまったりクリッピングに向かって反対向きになってしまうこともあります。
左コーナー手前で左向きになり過ぎてしまった時、そのまま走り続けようとするとイン巻き状態となってイン側に刺さってしまうか、スピンして進路を塞ぐ形になってしまう。そんな時に車体がインに刺さる(あるいはイン側の崖などに落ちてしまう)のを防ぐために素早くリバースに入れて回避するために使うのです。
アイスバーンの氷上などでは使う頻度が高まります。通常は一旦停止させてリバースに入れ、後退させて走行ラインに戻しますが、氷上ではブレーキが4輪ともロックしたまま滑って行きますので、その間にリバースに入れ後退駆動力をかけます。競技中はタイムロスを少しでも少なくしたいので車体停止する前にアクションを起こしているわけです。
乾燥舗装路やサーキットではこうした行為はタブーです。あくまでクローズドの低ミュー路で、秒を争い、車体へのダメージを最低限に抑える緊急テクニックとして活用することはあり得る。ということです。
編集部:なるほど。巷ではラリーのスペシャルステージで「神岡ターン」が見られると思っている人がいるようですが、そうではないのですね。
中谷:理論的にもそれで速さを稼げる技ではないので、緊急回避テクとして仕方なく用いる、って考えていいのでは。違うというなら神岡選手に直接伺って実践して見せてもらうしかないよ。
編集部:「フェイントモーション」や「直ドリ」も伝説のドラテクにノミネートされるべきですね。ありがとうございます、参考になりました!