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ホンダは「水の上も電動化」! 松江市とタッグを組んだ「遊覧船」+「電動船外機」を体験したら想像以上にメリットだらけだった (2/2ページ)

ホンダは「水の上も電動化」! 松江市とタッグを組んだ「遊覧船」+「電動船外機」を体験したら想像以上にメリットだらけだった

この記事をまとめると

■島根県の観光名物「堀川遊覧船」にホンダの電動船外機が取り付けられた

■静かでコンパクトなので乗客との会話が弾んだり見晴らしがよかったりとメリットが多い

■この電動船外機は実証実験のために導入されており、モバイルパワーパックe:で駆動する

島根県松江市とホンダが実証実験をスタート

 島根県松江市といえば、何を連想するだろうか。城好きであれば国宝・松江城をいの一番に思い浮かべるかもしれない。

 そして松江城をグルっと取り囲むお堀は、なんと建築当初からほとんど形を変えていないこともマニアには知られているところだろう。そんな松江城のお堀を巡る「堀川遊覧船」は松江の名物となっていたりする。

 ゆったりとお堀を行く遊覧船には日よけの屋根がついているが、水面との隙間が少ない橋をくぐるときには乗客がうつ伏せ状態になり、屋根を格納して通過するというのもアトラクション的で、松江観光には欠かせないプログラムでもあるのだ。

 今回、そんな堀川遊覧船に乗る機会があった。といっても観光に行ったわけではない。2023年度のSDGs未来都市である松江市が目指すカーボンニュートラル観光を実現するために、ゼロエミッション遊覧船が実験的に導入されるということで、そうした現場を取材すべく“試乗”してみることにしたのだった。

 言うまでもなくゼロエミッションの手法は電動化で、実証実験に使われる電動推進機はホンダとトーハツという船外機大手が共同開発したものを使うという。

 まずは、従来からの遊覧船に乗ってみた。

 これまでも松江市の堀川遊覧船は環境へ配慮した運行を目指しており、古くからホンダ製4サイクルエンジン船外機を使ってきた歴史があるという。現在では、ホンダの「BF9.9」を使っている。

 船外機というと小型パワフルな2サイクルエンジンが多い印象もあるが、ホンダの4サイクルエンジン船外機は排気の匂いも気にならないし、222ccの2気筒エンジンを低回転メインで使っていることもあって、振動が大きいという印象もない。正直、このくらい快適なのであれば、わざわざゼロエミッションの電動化をするメリットは少ないのでは? と感じるほどだった。

 しかし、電動推進機に乗ると、想像以上に静かで快適なものだった。

 先ほどのエンジン式船外機では感じた振動が皆無になっている。小さな遊覧船だけに、エンジンの振動が乗客にも伝わってくるのはクラシカルな趣きもあるのだが、完全に振動がない船上でお堀の水面を眺めていると、松江城400年の歴史に思いを馳せたくなるから不思議だ。

 操船するスタッフの方に聞けば、「エンジンの船外機では音がうるさくてお客様と会話するのが難しいですが、電動になるとコミュニケーションが取りやすくなります」と好印象の模様。具体的に、5km/h程度で遊覧している状態での騒音は、エンジンの船外機が75dBとなっているのに対して、電動化により70dBまでに下げることができているという。

 さらに、通常の船外機はエンジンを積むぶん筐体が大きくなってしまうが、電動推進機はかなり薄型のボディとなっているおかげで、乗客が振り向いたときの視界が確保されているのも観光船としてはメリットといえそうだ。

 よく見れば操縦するバーハンドルも電動推進機は専用品で、エンジン船外機では前進後退を切り替えるのにガチャンと切り替えるレバーを使っているが、電動のほうは指先でスイッチを操作するだけ。はたから見ていても、エンジンの船外機では操縦する腕がプルプルと震えていたが、電動になると振動も少なく、労働環境としても改善されていそうに感じた。

 電動化により小まわりが利くようになっているのもメリットだという。実際、転回してもらったが、クローラー車両のようにその場でクリルと向きを変える様子には驚かされた。

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