軽自動車にメリットはあるが性能自体が優れているわけではない
しかし、前述したN-BOXを例にすると、燃料タンク容量は27リットルとなる。軽自動車に比較的近い存在となるトヨタ・ヤリスの1リッター車のタンク容量は40リットルとなり、登録車でもっともコンパクトなサイズの代表といえるヤリスに比べ、タンク容量は7割弱となるのである。ちなみにヤリス1リッターモデルの燃費は20.2km/L。燃費数値もN-BOXのGが1.2km/L優れているだけともいえる。
軽自動車は燃料タンク容量が少ない分、毎回の給油量は少なくなるが給油頻度は多くなる。軽自動車ユーザーのなかには、給油頻度が多くなるだけでそれほど経済性に優れているわけではないと考える人も増えるようになり、いわゆる「リッターカー」と呼ばれる1リッターや1.3リッターぐらいのコンパクトカーに乗り換える人もいるようだ。
軽自動車に乗るメリットは税金などの維持費用が安いこと以外は、登録車のコンパクトモデルと大差はないとはいうものの、この維持費の安さというのは結構インパクトが大きいことも間違いなく、この面では軽自動車は経済性が高いといえるのは間違いない。
筆者は、アメリカでレンタカーを借りてデスバレーをよく巡っている。あるとき、カローラサイズの日産セントラ(かつてのサニーの海外名)を借り、デスバレーの最寄りフリーウェイのインターチェンジ近くのガソリンスタンドで満タンにして出かけたのだが、デスバレーを巡り給油したポイントに戻ってくるときには、ガス欠寸前とまではいかないものの、燃料計の針は最後の目盛りを下まわる程度になっていた。
カローラサイズのクルマの燃費性能は高いのだが(1.8リッターや2リッターエンジン搭載)、ガソリンタンク容量が少ないので、とくにアメリカの郊外を長距離走るときには、給油頻度が多めになるのが面倒に感じた。
そのため、筆者は2.5リッターエンジンを搭載するカムリサイズのレンタカーを好んで借りている。燃費性能は当然カローラクラスより劣るが、その代わりに燃料タンク容量が多く、ロサンゼルスとラスベガス間のドライブも、燃費性能の大幅向上もあって、無給油で楽々と行くことができることにメリットを感じているからだ。
カローラクラスでも、燃費性能の向上で途中無給油で往来することはできるかもしれないが、対向車も滅多に来ない砂漠の道を長距離走るのが好きな筆者としては、カムリサイズ車の使い勝手の良さにメリットを感じる。
遠乗りを基本的に行わず、生活圏内の移動にほぼ特化しているのなら、給油頻度が多くなったとしても軽自動車のメリットは十分あるといえるが、単純に燃費性能やそれに伴うガソリン代となると、世の中で思っているほど軽自動車の性能が優れているわけでもないともいえるのである。