80〜90年代はホンダデザインの「黄金時代」! 掛け値なしに「イケてる」外観の秘密をデザインのプロが解説 (2/2ページ)

いまでも根強いファンの多い名車が続々と生まれた

1980年代後半は「低さ」をテーマに駆け抜ける

 この1980年代前半の名作群を次の時代にどう引き継ぐのか? 実際にはさまざまな論議があった筈ですが、そのひとつとして先の2代目プレリュードを筆頭とした「低さ」への注目があったように思えます。

 その機運は、まず1985年の初代レジェンドに見られ、翌年、180度の趣旨替えでファンを驚かせた2代目シティで本格スタート。1987年にはシビックとCR-Xがモデルチェンジしますが、先代を基本としながらも、より低くスリムな佇まいが特徴です。両車ともこの世代の人気が高いですが、このわかりやすいスポーティさが理由かもしれません。

 そして、この流れの集大成が1989年に登場したアコードインスパイア/ビガーです。縦置きエンジンによるFFミッドシップという特殊な機構が前提とはいえ、低く、長いボンネットに小さなキャビンを載せたハードトップボディは「低いホンダ車」を決定付けました。そこに高い合理性は感じられませんが、大幅にアップした質感や明快なカッコよさが、1990年代初めの個性となったのは間違いないでしょう。

 こうしてホンダデザインの黄金期が築かれたワケですが、冷静に見ると、1980年代前半に圧倒的な実績を残し、その資産を使うことでギリギリ1990年代に届いたようにも感じられます。したがって、同じ黄金期でも前期と後期ではデザイン要素がかなり異なり、それぞれにファンを持つ点が面白いところです。

 さて、時は過ぎ、現在のホンダデザインはシンプル回帰路線を歩んでいますが、果たしてこれが後に「令和の黄金期」と呼ばれることになるのでしょうか?


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

愛車
いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
趣味
オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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