油脂類は今秋にもさらなる値上げの動きアリ
油脂類と総称されるクルマに使わるオイルについても同様に価格は上がっている。ブレーキペダルを踏んだ力を四輪のブレーキキャリパーなどに伝えるブレーキフルードも、そうした価格アップをしている油脂類のひとつだ。
たとえば、ブレーキ関連のアフターパーツで知られるディクセルは、2022年末にブレーキフルードについて平均10.35%アップとなる価格改定を実施している。
その理由について、同社では「ブレーキフルードの主原料であるエチレングリコールおよびその他の添加剤」の価格高騰によるものと説明している。名前からもわかるように、エチレングリコールはナフサ由来のエチレンを材料としているため、原油高の影響は避けられないというわけだ。
エチレングリコールといえば、LLC(ロングライフクーラント)の主成分としても知られている。LLCについては交換目安が新車から7年程度と長くなっていることもあり、さほど気にしていないかもしれないが、価格上昇の圧力がかかっていると見るべきだろう。
原油価格の上昇に伴う油脂類の価格アップ以外にも、メンテナンスコストには上昇圧力がかかっている。国内事情でいえば、今後は自動車整備における作業工賃が上がる可能性が考えられている。
ビッグモーターで起きた、入庫したクルマを傷つけるなどして自動車保険を不正に請求したという行為は許されざることだが、その遠因として「整備では儲からない状況にある」という指摘は前々からある。
「適正な整備費用を実現すべき」という声は自動車業界から聞こえてくるところ。さらに、整備士不足を解決するためにも給与アップは必須といえ、そのためには整備費用の値上げは避けられない、というのが業界全体の流れとなっている。
というわけで油脂類と交換工賃のダブル値上げがユーザーの財布を直撃している、というのが現在の状況だ。
それでも整備を怠ってクルマを傷めてしまうと余計にお金がかかってしまうのも事実。価格が上がってもエンジンオイルなどはきちんとしたサイクルで交換できるよう、予算を確保しておくのがスマートなドライバーといえる。
なお、エンジンオイルについてはさらにこの秋にも値上げの動きがある。交換時期が近づいているならば、早めの作業がおすすめだ。