プライベートにも自由なし! 日本は令和の時代なのに「自社取扱車」に乗ることが「半ば義務」だった (2/2ページ)

販売方法をはじめ社員の愛車の扱いも様変わりした

 バブル以降、新車の売り方が訪問販売から店頭販売に変わってきた。

 そうなってくると試乗車も用意されるようになるが、それと同時にセールススタッフの乗る車両もデモカーとして活用できるように、購入時の費用負担などを会社が行う代わりに(社員割引き以外に)、車内に私物を置かずにもちろん改造もせず、定期的な買い替えを求める会社も出てきた。

 たとえばいまでも、2年間のローンを組んだ場合、月々の支払額のかなりの部分を会社が負担し、事実上2年おきに新車へ乗り換えさせるような会社もあると聞いている。

 仮に自社取り扱い車だが、資本の異なるディーラーから購入した家族の車両を使っていても、「早く自分で購入するように」と言われるようである。また、新車販売のセールススタッフなのに、中古車を自社から購入したら「新車を売る仕事なのに何を考えているんだ」となったそうである。買う側からしても、「他メーカー車に乗っているのになぜ私たちにこのメーカーのクルマを勧めるの?」と不思議に思う人も日本では意外に多いようである。

 日本独特の同調圧力というものもあるので、見た目は強制されているわけでもないが、半ば強制的に自社扱いのクルマに日々乗るのが日本の新車ディーラーセールススタッフとなっている。ただ、それは通勤や仕事で使う場合の話であり、プライベート用に輸入車や自社扱い以外の他メーカー車両を保有しているケースは結構多いようである。

 しかし、これがアメリカに行くと話ががらりと変わる。

「仕事とプライベートは別」ときっぱり言われて、「自社扱いにこだわらずに好きなクルマに乗るのは当たり前」と南カリフォルニアの新車ディーラーセールススタッフに言われた。社員購入制度も整っているようだが、それは制度があるだけで、利用するかしないかは個人の自由となっているそうだ。取材したディーラーの店舗責任者も自分の扱うブランドのライバル車の新車で通勤してきていて、そのクルマを自慢げに見せてくれた。

 過去には、お客の家を訪れて商談を行うことも多かったので、その当時では自社扱い車に乗っていないと違和感を覚えるお客もいたかもしれないが、いまは店頭で契約が成立するパターンがほとんどなので、セールススタッフがどんなクルマに乗っていようが関係ないともいえるのだが、会社愛のひとつの表現方法なのか、いまでも自社扱い車に乗ることは当たり前であり、「私も乗っているんですよ」というのは商談時にも効果があるようで、セールストークではよく使われている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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