まずは利用者がルールを守ることが絶対条件だ
別の観点で、今回のパリ市における電動キックボード・シェアリングの禁止はグローバルに対して大きなインパクトがあると思う。なぜならば、欧州やフランスでは、2000年代から都市交通に関する抜本的な変革に向けてさまざまな法律を制定したり、市民を交えて新しい時代の都市像についての議論を深めてきたからだ。
そのなかで、2010年代以降はスマートフォンの普及によって小型モビリティのシェアリングがビジネスとして成立するようになった。いわゆる、シェアリングエコノミーと呼ばれる領域である。
このような経緯のなかで誕生し、そして普及が進んできた電動キックボードのシェアリングがパリ市から姿を消すことは、単なるパリ市だけの社会問題ではないはずだ。
他方、日本では改正道路交通法が2023年7月1日に施行されたことに伴い、特定小型原動機付自転車(警察庁による略称:特定原付)が誕生した。
これにより、一部の電動キックボードなどの小型モビリティが、16歳以上であれば運転免許不要、またヘルメット着用が努力義務で運転できることになった。さらに、一定の要件を満たす機種では、最高速度6km以下で自転車等が走行可能な歩道を走行することも可能だ。
電動キックボードについては、特定原付が生まれる前の時点で、事故や違法な利用が発生しており、警察庁がそのデータも公開している。直近では、特定原付による違法行為についても各種報道がある。
日本においては、パリ市の事例を教訓とし、まずは利用者自身がマナーを守り、交通のルールをしっかり理解することが先決だ。
そのうえで、状況に応じて法律の改正、または市町村でのローカルルールの策定が必要になってくるかもしれない。