この記事をまとめると
■横断歩道や横断道での人や自転車の横断を妨げてはいけないことを道交法では明記している
■横断中の死亡事故は昨年までの5年間で4678件も発生している
■ドライバーは改めて歩行者優先という規則の遵守と横断歩道付近での徐行をするべき
いかなる場合でも横断歩道付近では徐行すべし
横断歩道と、自転車の横断道では、道路を横断しようとする人、または自転車がいる場合、いつでも一時停止できる速度で徐行して接近し、そのうえで、停止線で一時停車し、横断を妨げないようにしなければならないと定められている。
しかし現状、多くの場合、歩行者などを待たせ、速度を落とさないまま横断歩道を通過している運転者が多いのではないか。
上記の規則が守られないことによって、横断中の死亡交通事故は昨年までの5年間で4678件発生し、そのうち約7割が横断している最中に起きていると警察庁は発表している。つまり、横断歩道を横断しようとしている歩行者や自転車の存在を、運転者がいかに無視するに近い状況になっているかが、あらわになっている。
ことに、横断歩道の直前にクルマが駐車しているときは左右の見通しがいっそう悪くなるので、横断中の歩行者がクルマと接触することが起きやすいのではないか。この場合も、じつはクルマは一時停止しなければならないと定められている。ところが現実的には、こうした場面でも徐行さえせず、速度を落とさずに通過しているのではないか。
当然ながら、横断歩道の近く(30メートル以内)で歩行者などに横断を譲ろうと一時停止しているクルマを、追い越してはならないことになっている。
改めて、歩行者優先ということを思い起こしてほしい。このことは、横断歩道のない道路で歩行者が横断しているときにも当てはまり、歩行者の通行を妨げてはならないとなっている。
もちろん、歩行者に対しても、横断歩道のない場所で横断することや、スクランブル交差点などを除いて斜めに横断することを禁じている場合もある。
それでも、歩行者優先という基本はクルマ側が守るべきだ。
一方、昨今は、横断歩道の付近でスマートフォンを操作し、立ち止まっている歩行者と遭遇することもあるだろう。この場合、歩行者は横断の意思を示していないので、条文にある、「歩行者の横断を妨げてはならない」には当てはまらないといえるのではないか。ただし、歩行者は周囲の状況に関わりなく突然横断しはじめるかもしれない。
したがって、横断歩道に近づいた際、いつでも一時停止できる速度に徐行するという法規はあるので、それにしたがってスマートフォンを操作している人が横断しはじめようとしたときには一時停止できる準備をしておくべきだろう。