地方で「病院に行くアシがない」問題も噴出! いま全国的に路線バスの運行本数が減少しているワケ (2/2ページ)

若年ドライバーへ運行技術を伝える難しさ

 あくまで筆者の私見というか経験となるのだが、過去にも19歳まで若くはないが、明らかに「若手」と思える運転士が運転する路線バスに何度が乗ったことがあるのだが、年配の運転士に比べると、アクセルを吹かすなど明らかに荒い運転姿勢が目立ち不安になったことを覚えている。もちろん、いま現役でバスを運行している年配の運転士も新人のころはあったが、その当時の新人指導といえば先輩運転士から罵詈雑言を浴びながら、そして時には「手が出る」といった、まさに職人の世界のような環境のなかで、乗客の命を預かって運行するという、二種免許保有者としての厳しい運転姿勢を身体に覚え込まされたと聞く。

 令和のいまにそれを再現しろと言うつもりはないが、「言葉だけで理解させる(しかもパワハラにならないレベルで)」指導では時間や手間がかかるといわざるをえないといえよう。また現状多くのバス事業者に時間をかけて新人を育成するといった余裕はないものとも感じている。技術的な問題よりも、「二種免許を持つプロドライバー」という自覚を持たせることが大切であるが、そこまでを社会人経験も未熟な若年層を短時間で運転士として育て上げる時間的余裕は運行現場にはあまり存在しないようにも見える。

 大型二種免許取得もいまは実技試験免除なので、教習所に入り「ところてん式」に免許を取得して卒業となるので、若年運転士はまさに付け焼刃に近い状態で、実際の運行現場にやってくることになるのである。

 将来を考えれば若年運転士の雇用も大切なのだが、世のなかには現役世代のなかで二種免許を持ちながら、タクシーやバス、トラック業界で働いていない人がかなり存在する。そのような人たちを取り込む努力もすべきだと考えている。そのためにも、まずは給与面も含めた待遇改善が急務と言えるだろう。「バス愛好家」ともいえるバス好きな人が運転士には多くいるので、どうしても運転するのが楽しくて、稼ぎなどをあまり気にしない人も多いのか、仕事のハードさに比べると、待遇はけっして良いとは言えないレベルとなっている。

 せっかく入った若年運転士だって、働けど給料が思うように上がらなければ早期離職してしまうだろうし、結局根本的な働き手不足といった問題解決にはつながらないことになるだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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趣味
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