355馬力の7リッターV8エンジン搭載のGT500も追加
一方、ストリート仕様のGT350は、あまりにも騒音や振動が大きかったためにその評価は低く、それに対応してフォードはAT仕様などの、より快適なGT350をリリースしたほどだった。
GT350は最終的に1969年までマイナーチェンジを繰り返しながら生産が継続されるが、レースによるスポーツイメージの向上という点では、たしかにフォードの戦略は間違ってはいなかった。それは現在でもシェルビーGT350の人気が圧倒的なものであることが証明しているのである。
さらにもうひとつ忘れてはならないのは、1967年モデルからシェルビーのシリーズに追加設定された「GT500」の存在だ。
搭載エンジンは428立方インチ(約7リッター)のサンダーバード428 V8。GT350との違いはこのエンジンのみで、355馬力という最高出力は非常に魅力的なものだった。
ちなみに翌1968年モデルでは、GT500はさらに360馬力仕様に、またGT350も315馬力へとパフォーマンスアップが施されている。
そしてさらにマスタングのファンを熱狂させたのが、キング・オブ・ロードを意味するKRの称号を得た、「GT500KR」がラインアップに加わったこと。コブラジェット428 V8エンジンを335馬力のパワースペックで搭載しているが、これは過剰な馬力戦争を避けるための策であったといわれている。
2000年代に入り、再び復活を遂げたGT500とGT350。それはアメリカンマッスルカーの世界が、いつの時代もファンに広く支持されていることを物語る、何よりの証明といえるのではないか。