長期放置したクルマはそのままエンジンをかけちゃダメ! 始動の手順と「どのぐらいの期間の放置」なら普通にかけていいのか (2/2ページ)

エンジンも大事だがバッテリーやブレーキの劣化にも要注意

 では、「どれくらいの期間保管していたらプラグを外してクランキングしたほうがいいか?」というのが難しいところ。雪国ではスポーツカーを半年近く動かさずに保管している人も多いというが、プラグを外さずに再始動したからエンジンが壊れてしまったという人がいるかというと、じつは滅多にいない。

 とはいえ、ドライスタートによるダメージはいきなりエンジンがブローするわけではなく、徐々にシリンダーやカムに傷が入ることでダメージを受けている可能性もあるので、半年くらいの保管なら絶対に大丈夫とも言い切れない。

 なんとも言えないところなので、結局のところ「どっちが正解か」言い切れない。気になるならプラグを外してオイルを入れてクランキングしたほうがいいし、気にしないならとりあえずエンジンをかけて数分アイドリングしたら、しばらくゆっくりと街乗りして徐々にペースを上げていけば問題ないと言える。また、1カ月程度であればわざわざプラグを外してクランキングする必要はなさそう。

 ちなみに、エンジン内部のほかにも長期保管をするとたくさんの問題が起きる。

 まずはバッテリー。自然と放電してしまうし、最初にオイルをまわすためにクランキングもするので、十分に充電しておくか、ジャンプスタートするか、新品バッテリーにするなどの対策を講じたい。

 エアクリーナフィルターも年単位で放置すると素材が粉になってしまうことがある。そのままエンジンに吸い込んでしまうとよくないので交換しておいたほうが良い。

 ほかにもブレーキキャリパーのシールが固着して、ブレーキを引きずってしまったり、ブレーキマスターシリンダーやクラッチマスターシリンダーからオイル漏れをすることもある。

 筆者の場合はAE86でリヤデフケースからオイルが漏れてきた。硬化したパッキンに熱が入ってダメージを受けたと思われる。そういったありとあらゆる部分からトラブルが起きることがあるので、年単位で寝かせていたクルマの場合は、再始動後はプロの手で下まわりなどをチェックしてもらうことをオススメする。

※画像はイメージ

 古い燃料も抜くか、できるだけ早く使い切って新しいガソリンに入れ替えたいし、オイルも再始動後は交換がオススメ。タイヤの空気圧補充はもちろん、タイヤ自体に劣化によるヒビなどもないか確認しておきたい。


加茂 新 KAMO ARATA

チューニングジャーナリスト

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