この記事をまとめると
■フォルクスワーゲン主催の最新BEV試乗体験会にて「ID.4」に乗った
■さまざまな過酷な条件下でもID.4は高い走行安定性を披露してくれた
■ドライビングインストラクターも務める番場 彬さんのID.4試乗インプレをお届けする
フォルクスワーゲンのEVでもっとも売れているID.4
いま、世界で販売されているフォルクスワーゲングループ(以降VWG)のなかで、一番売れている電気自動車(以降EV)が「ID.4」だ。2023年上半期に出荷されたEVモデルとしてSUVタイプのID.4、そして同サイズのクーペタイプとなるID.5の合計数は10万1200台と、VWG内でも圧倒的な数がデリバリーされている。
日本国内では、昨年11月に発売した導入記念特別仕様車「ID.4 Launch Edition」は完売となり、2023年8月からいよいよ標準グレードの販売が始まる。それに合わせて販売店にも標準グレードの試乗車が配備されるということで、ここに来てようやく国内のフォルクスワーゲンもEVへの本腰が入り始めたといえるだろう。
さて、標準モデルの試乗車が店舗にデリバリーされるということで、まだID.4に触れたことがないという方もたくさんいるだろう。そこで、フォルクスワーゲンが主催する最新BEV試乗体験会「Volkswagen Tech Day」で体感したID.4の特徴を、ぜひ店舗での試乗の参考にしてもらいたい。
今回体験したプログラムは、走行安定性を体験するパートとしてハンドリング路、ウエットスキッドパッド、ウエット登坂路、ウエットスラロームが用意されていた。
先に大事なこととして伝えておきたいのが、ID.4は現在のVWブランドでは珍しいリヤ駆動モデルになる。リヤ駆動を採用した最大の理由は、従来の内燃エンジン量産モデルでは叶わなかった「前後均等に近い重量バランスと低重心」が、電気自動車専用設計プラットフォーム「MEB」によって実現したことだ。フロントタイヤばかりに負担がかかるフロント駆動ではなく、曲がる仕事と進む仕事を前後のタイヤで分担することで高い走行安定性能が得られるリヤ駆動に行きついたのだという。
話を戻すとしよう。まずはハンドリング路での優れた重量バランスと低重心を体験することができた。変則的でまわり込むような複合コーナーが連続するハンドリング路では、ステア操作を切り足したり、コーナー途中でブレーキを踏まなければならなかったりと、クルマには負担がかかるレイアウトだった。
だがしかし、そんなシーンでもクルマの素直さと安定感には驚いた。加速、減速、旋回、どれをとっても動きが滑らかでクルマの状態が分かりやすく、加減速によるピッチングの動きやステア操作によるロール量が抑えられていて運転しやすいのだ。とにかくクセがなく、ニュートラルな特性が素晴らしい。
アクセルを急激に踏み込んでみても、モーターは適切な出力に調整されるため、パワースライドのようなオーバーステアや、パワーがかかり過ぎて発生するプッシュアンダーなども起きないのだ。とにかく安全に感じ、不安定さがないため、とても安心して運転することができた。