この記事をまとめると
■新型アルヴェルは先にモデルチェンジしたノアヴォクから多くの快適機能を受け継いだ
■安全運転支援機能であるトヨタセーフティセンスはノアヴォクよりも進化している
■もはや盤石の体制となった新型アルヴェルは国産ハイエンドミニバンの頂点であり続ける
弟分から受け継いだ装備で快適性向上の新型アルヴェル
いよいよ登場した、現代のVIP御用達カー、大空間高級サルーンと呼べるトヨタの新型アルファード&ヴェルファイア。企画から生産まで一貫してトヨタ車体が手がけているのが特徴だが、先に登場した現行4代目ノア&ヴォクシーも、じつはこの世代からトヨタ車体が手がけることになったのだ。現在、トヨタ車体が手がけるトヨタのミニバンはノア&ヴォクシー、グランエース、そして新型アルファード&ヴェルファイアの5車種となる(ほかにはハイエース、ランドクルーザー300、レクサスLX600、ランドクルーザー70などを企画、生産)。
振り返れば、現行型ノア&ヴォクシーが登場した際、開発責任者の水澗さんによれば、ノア&ヴォクシーの開発がトヨタ自動車からトヨタ車体に移管され、トヨタ車体として初のノア&ヴォクシーだけに、絶対に失敗は許されない……という立ち位置から、レクサスを含むトヨタが持てる技術、装備、機能、アイディアを惜しみなく出し切る必要があったという。
よって、1990年代のイプサムに遡って使い続けてきたプラットフォームをTNGA GA-Cに刷新するとともに、先進運転支援機能のトヨタセーフティセンスは一気に2世代分、アップデート。一新されたハイブリッドシステム、トヨタ最新の駐車支援システム、アドバンストドライブ、レクサス譲りの安心降車アシスト、アイデア満載のカラクリ機構(ユニバーサルステップやテールゲートに採用)などをフル搭載。ライバルを青ざめさせる新型となったのである。
新型アルファードが登場する前、筆者は個人的に、トヨタ車体が企画、生産する新型だけに、ノア&ヴォクシーで採用されたアイテムのいくつかは、新型アルファード&ヴェルファイアにも惜しみなく搭載されると睨んでいたのだ。
蓋を開ければ、その予想は見事に当たっていた。さすがにトヨタセーフティセンスはノア&ヴォクシーのものよりさらに進化を遂げているのだが、たとえば、以下のアイテムがノア&ヴォクシーから受け継いだと言っていいものだ。
1. 停止位置メモリー機構付きパワーバックドアのスイッチ
ボックス型ミニバンのウィークポイントのひとつが、大きく開くバックドアの開閉だ。車体後方にスペースのない場所に止めてしまうと、バックドアが全開にできず、荷物を出し入れするには、やむなくクルマを前に出す……なんていう手間、事態がある。そこでノア&ヴォクシーが採用したのが、非パワーバックドアでも任意の位置で開閉を止められる、”からくり”機構を用いた世界初のケーブルによるシンプル構造のフリーストップバックドアだった。
しかしそれでも、大きく開くバックドアの使い勝手のすべてが解決したわけではなかった。そう、バックドアにある開閉スイッチを押すと、操作した人に向かって巨大なバックドアが上がり、衣服を汚したり、顎に当たったりすることもありがちで、後ずさりは不可欠。それで縁石にひっかかり、転倒……なんていうこともある。
そこで、採用された目から鱗の新機能が、ボディサイド側に移された「パワーバックドアスイッチ」である。
この秀逸なアイディアはもちろん、新型アルファード&ヴェルファイアにも採用され、リヤコンビランプ側面下に移されたのである(祝)。
スイッチは開ける、閉めるのふたつだ。これで、ボディ側面から操作すれば、巨大なバックドアが操作者を直撃することもない。
2. 安心降車アシスト
4代目ノア&ヴォクシーの新安全装備として注目だったのが、レクサス譲りの「安心降車アシスト」だった。後側方レーダーセンサーによって自車の後方を走行する次の車両・自転車を検知し、ドアミラーインジケーター、ブザー、メーターの表示、および音声通知によってその車両の存在を乗員に知らせ、不用意にドアを開けようとすると、ドアのオープンを制御してくれるというものだ。
とくに車道側のドアを開ける際、後方から車両、自転車が接近すれば双方に危険が及ぶ。レクサスではヒンジ式ドアの制御だったものをノア&ヴォクシーからはパワースライドドアにも採用したのである。新型アルファード&ヴェルファイアでも採用しない理由はなく、晴れて「安心降車アシスト」が用意されたのである(安心)。