ポルシェだからと“気張らない”個性がボクスターの魅力
ボクスターの魅力はなんといっても、そのダイナミックかつピュアな走りです。それはひとえにエンジンをボディ中央に搭載するという、ミッドシップレイアウトの成せる業。
6気筒エンジンを縦にしてそのうえトランスアクスルを進行方向に一直線に繋いで積むという合理的なレイアウトのおかげで、カーブを曲がる際にヨーイングがつきやすく一度ついたヨーイングも収まりやすいという運動特性を実現しているのです。早い話、ワインディングロードでは素速く、気持ちよくカーブを曲がれて、楽しく走れるってワケ!
その卓越した走りを可能にしているのが、水平対向6気筒エンジン(しかも初の水冷!)です。俗にいうフラット6はエンジンそのものの重心が低く、しかもポルシェの設計者はそのエンジンを限りなく低く搭載したため、先ほど述べた良好な運動特性がますます向上しているってワケです。
おっと、もちろん低回転から高回転までパワフル&スムースな出力特性もボクスターの小気味いい走りには欠かせませんし、また、オープンモデルとして専用に設計されたボディ剛性の高さもダイレクトかつリニアなハンドリング=走行性に貢献しているのは間違いありません。
ここまで読んだ賢明な読者ならば、「水平対向6気筒エンジンのボクスターが極めてピュアな走りを実現しているんだから、さらに小さくて軽くなった4気筒エンジンを搭載したボクスターならもっともっともっと速く楽しく山道を走ることができるだろ!?」と思ったに違いありません。そう、まさにそのとおり! ボクスターは1996年のデビューから現在まで、適切なアップデートを重ねつつ、優れた走行性能をその卓越したパッケージングのボディに秘めていたのです。
ところが世間の目は、RR(リヤエンジン・リヤドライブ)という極め付けに強烈なアイデンティティを持った911にばかり注がれているのが、筆者には歯痒くてたまりません。
いや、決して911の走りが良くないといっているのではありませんよ。むしろ大パワーを確実に路面に伝えるRRならではの走りは、まさしくポルシェしかあり得ませんから! そうしたポルシェならではのピュアスポーツドライビング=運転する楽しさを、ボクスターは911よりも素直に体感できるということをメッセージしたいのです。
セカンドマーケットをのぞいてみると、初期型ボクスターは200万円くらいで並んでいますし、初代であれば100万円そこそこでも見つかります(それに対し911の中古は年式やモデルを問わず高いのが現状)。グッドコンディションのボクスターをリーズナブルにゲットし、ポルシェならではのピュアな走りを満喫してはいかがでしょうか。