ドライバー2名とも還暦超え! 「なぜ走るのか?」「なぜスーパーGTなのか?」R’Qs MOTOR SPORTSチームを直撃した (2/2ページ)

年齢が上がったからこそトレーニングは欠かせない!

──やっぱり、フィジカルトレーニングや身体のケアなんかもしているんですか?

和田選手:トレーニングは毎日やっていますよ。若いときからずっとトレーニングをやっていたんですけど、昨年、腰の手術をしてからは、それを補うためにも欠かさずにトレーニングをしています。

城内選手:僕は毎日トレーニングをやっていないけれど、それでも週に2〜3回はトレーニングをやっていますね。

──食事面で気をつかっていることは?

和田選手:炭水化物を摂るようにしています。それでも体重はまったく変わらない。身長はちょっと縮んでいますけどね。

城内選手:歳をとったらみんな縮むからね(笑)。でも、インターバルはトレーニングやリハビリ、治療などに費やすことが多いです。

──第3戦の鈴鹿から第4戦の富士まで、約2カ月のインターバルがありましたが、その間は何をやられていたんですか?

城内選手:トレーニングしていました。

和田選手:モータースポーツはやっぱりお金が重要だから仕事をがんばってましたよ(笑)。

──なるほど。GT300クラスで戦い続けるのは大変だと思いますが、長く継続する秘訣みたいなものはあるんでしょうか?

和田選手:やっぱり「あきらめないこと」ですね。やめようと思えば明日にでもやめられるけれど、スポンサーも付いているし、メンテナンスをお願いしているガレージもあるので責任も伴うでしょ。応援してくれている人がいる以上、なかなかやめられない。

──ジェントルマンドライバーの活躍の舞台としてはスーパー耐久シリーズもあると思いますが、スーパーGTにこだわる理由は?

和田選手:スーパーGTは参戦しようと思ってもなかなか参戦できないカテゴリー。それに応援してくれている人にも楽しんでもらえるカテゴリーなので、やっぱりスーパーGTは特別ですよ。

──最年長コンビの目標は?

城内選手:以前は10位以内に入れていたんですけどね。いまはなかなか難しい。

和田選手:20位以内でも難しいよね。

城内選手:でも、「20位が目標」ってスポンサーには言えないから10位以内が目標です(笑)。

 以上、最年長コンビのインタビューをかいつまんでまとめたが、会話の節々から両名のスーパーGTに対する情熱が感じられた。

 そのことはチームメイトも感じているようで、第4戦の富士にサードドライバーとして参戦した加納政樹選手は、「おふたりを見ていると年齢からくる衰えはまったく感じませんね。メルセデスはブレーキの踏力が必要なんですけど、トレーニングを重ねていることで対応しているし、僕の提案も受け入れてくれる柔軟さもある。できることはなんでも試してみようとする前向きな姿勢はすごいですよ。スーパーGTには20歳そこそこのドライバーもいるわけですが、若手ドライバーを相手にちょっとでもギャップを縮めるべく、なんとかしたいという情熱は半端ないです」とのこと。

 さらに、R’Qs MOTOR SPORTSのチーム監督である黒田朋宏氏も「スーパーGTは参戦することすら大変なカテゴリーですが、和田選手も城内選手も還暦を超えたいまでも維持していますよね。普通に考えれば引退を考えてもいい年齢だし、バリバリの若手にタイムで勝てるかというと難しい部分はあるけれど、そこに挑戦し続けているところはすごいと思います。体力面も気力もスポンサー活動を含めて環境を作って維持している。リザルトだけをみるといつも最後のほうを走っていますが、それでも可能な限りいいレースをみせたいとふたりとも思っています。ほぼ40年間にわたって現役で、しかもスーパーGTに参戦し続けているので本当にリスペクトしています」と語る。

 事実、土曜日の予選終了後にはピット内で、和田選手、城内選手、加納選手が入念にドライバー交代の練習を実施。もちろん、フィジカルトレーニングはほかのドライバーも行っているし、ドライバー交代やタイヤ交換の練習は他のチームも行っているだけに特別なことではないのだが、最年長コンビが努力を続けているシーンを見れば、多くの還暦世代が「俺たちも頑張ろう!」と思うことだろう。

 スーパーGTのGT300クラスは世界一の激戦区であり、ワークスチームや名門チームが激しいバトルを展開しているだけに、上位進出はハードルの高いカテゴリーだが、ほかのスポーツをみても数少ない“還暦世代の星”といえるだけに、今後も最年長コンビの動向に注目したい。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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登山
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