100年以上「黒くて」「丸い」ゴムの塊のまま! 見た目は変わらないけどタイヤって進化してるの? (2/2ページ)

中身や素材は常にアップデートされている

じつは見た目も変わっている

 見た目の部分で言えば、低偏平化が最近のタイヤの進化論で大きなポイントと言えるだろう。サイドウォールが薄くなる低偏平化は、設置面積が広くなりハンドリング性能が向上するからだ。しかし、低偏平化すると乗り心地が悪くなる。この問題を解決するために素材や技術によって、低偏平化しても以前と同等かそれ以上の乗り心地を確保しているのだ。

 また、見た目という部分ではタイヤの溝、トレッドパターンも変化してきている。回転方向や左右の装着位置を気にしないで済む左右対称のタイヤが当初は一般的であった。しかし、時代が進むにつれて排水性に優れた回転方向が指定されている方向性パターン、外側のブロックを大きくしてコーナリング性能を高めた非対称パターンなどが誕生した。

 さらにパターンも単純に溝を掘るだけでなく、3Dプリンタ技術を活用して立体的形状に掘る技術も発達してきている。これにより、鋳型やパーツ溶接では作れないパターンが可能となってきているのだ。燃費性能とグリップ力など、相反する性能実現に応えるためにこのような技術が必要となってきている。

これからの進化

 大きく形は変わらずともタイヤは進化し続けている。そしてこれからも進化を続ける。近年は電気自動車の普及により、重たいBEV向けに剛性を向上させたタイヤなどが登場してきている。

 また、現在タイヤが大きく変わっているポイントとしては環境配慮の面であろう。それは耐摩耗性や使用年数の長期化などもあるが、サステナブル素材を採用し、将来的には100%持続可能なタイヤにするという考えもある。

 タイヤにはさまざまな性能が要求される。グリップ性能に低騒音性能、転がり抵抗の低減、耐摩耗性の向上……などなど、挙げ始めたらキリがない。しかもこれらの性能は基本的にどこかを引き上げればどこかが犠牲になる性能ばかりだ。全部一気に性能を底上げなんて簡単にはできない。しかも近年は、環境配慮に関しても重要視されるのだからタイヤメーカーにとってはひと言に「性能向上」と言っても大変なことなのだ。

 そんな無理難題につねにタイヤは挑み続けている。クルマの性能進化を実現する上でタイヤは欠かせないパーツなのだ。


西川昇吾 NISHIKAWA SHOGO

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マツダ・ロードスター(NB8C後期型)/ボルボV40 T4
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