アルピーヌA110じゃなくてA610ってなんだ? 3リッターV6ターボを積んだ「超イケてる」クーペの正体 (2/2ページ)

世界でも一線級の実力を宿した「A610」へと進化

 1992年になるとGTA以来、7年目の大幅なモデルチェンジが実施され、車名は「A610」に変更された。このA610もFRPボディに鋼管スペースフレームという基本設計に変化はなかったが、その運動性能はさらに大幅に向上。

 リヤに搭載されるPRV製のV型6気筒ターボエンジンは3リッターにまで排気量拡大され、最高出力で250馬力を発揮。0-100km/h加速は従来のGTAからさらに1.1秒短縮された5.9秒に、最高速に至っては17km/hの向上を果たした266km/hと、世界のスポーツカーのなかでも一線に並ぶスペックを掲げることに成功したのだ。

 ブレーキシステムの強化やタイヤの大径化とワイド化。サスペンション設定の見直しに、パワーステアリングの採用など、シャシー関連でも多くの改良点がある。参考までに前後重量配分は43:57にまで改善されており、それがよりナチュラルなコーナリングを可能にしている。

 エクステリアでは、何といってもリトラクタブル形式のヘッドライトが採用されたことが、このA610における最大の特徴。そしていかにもフレンチ・ブランドらしいエレガントで実用的なインテリアのデザインも、A610のみならず、A310時代からの大きな魅力だ。

 アルピーヌは現在、ドリーム・ガレージの名のもとに3台のフルEVを開発中であるという。そしてそのなかの一台は、ロータスとの共同開発によるA110の後継EVであるともされる。

 はたしてアルピーヌの次なる戦略はいかなるものなのか、夢は大きく膨らむ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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