ドラマチックなバトル展開が期待できるロングレース また、52号車「埼玉トヨペットGB GR Supra GT」を投入する埼玉トヨペットGreen Braveでチーフエンジニアを務める近藤收功氏も「450kmレースであれば、ロングライフのタイヤがあって燃費が良ければ、1回のピットストップで走り切れますからね。とくに52号車はコーナリングで稼ぐクルマなので、集団に埋もれると抜くことができない。そのため、単独で走ったほうが、レースラップはいいので450kmレースの場合、2回をロングにして1回はショートといったような形をとることが多いんですけど、3スティントを均等で分割する場合、グリップの高いタイヤでプッシュをできるので結果を残すチームもありますからね。450kmレースは難しいです」と傾向を前置きしたうえで、次のように説明している。
52号車「埼玉トヨペットGB GR Supra GT」の埼玉トヨペットGreen Braveチーフエンジニア近藤收功氏 画像はこちら
「タイヤのグリップも上がっているので、300kmレースより450kmのほうがクルマに対する負荷はかかると思いますが、マシンに関しては6000km、7000kmといったように距離に関してパーツのライフサイクルを管理しているので、450kmレースだからといって特別な対応はしていません」
一方、ドライバーに関して、450kmレースは過酷なのだろうか? チームによっては3人目のCドイライバーを追加しているところもあるが、300kmレースと同様に2名だけで450kmレースを戦うチームは、どちらか1名が2スティントをこなすことになる。しかしながら、ドライバーにとっても大きな負担はないようだ。
R&D SPORTで61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」を駆る山内英輝選手は「2スティントを乗ってもまったく疲れはないです。ふたりで一般道を450km走るのは疲れるかもしれませんが、レースになればあまり長いとは感じません」と語る。
61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」の山内英輝選手 画像はこちら
さらに、チームメイトの井口卓人選手も「最近は1スティントしか担当していないんですけど、300kmレースとそんなに変わらないです。もちろん、2スティントを担当する場合、状況によってはタイヤ無交換で燃料は満タンということもあるので、ドライビングの難しさはありますが、基本的に体力的には問題ないです」と語る。
61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」の井口卓人選手 画像はこちら
このように300kmレースと450kmレースでは、マシンやドライバーに対する大きな影響はないものの、戦略の自由度が増すことから、ドラマチックなバトルの展開を期待できる。第4戦の富士でGT500クラスを制した3号車「Niterra MOTUL Z」も、GT300クラスも制した11号車「GAINER TANAX GT-R」も、ドライバーが完璧な走り、チームが完璧なオペレーション、メカニックが完璧なピットワークを行ったことで450kmレースで優勝したのである。
第4戦の富士でGT500クラスを制した3号車「Niterra MOTUL Z」の走行シーン 画像はこちら
ちなみに2024年のスーパーGTについてGTAの坂東正明代表は「450kmのレースをもう少し長くするとどうなるかを考えている。例えば300マイルにすると481kmになる。燃料の使い方を考えないといけないが、さまざまなフォーマットを考えている」と語っているだけに、さらなるロングレースの開催にも注目だ。