スポーツカー不遇の時代に2代目まで登場! 10年以上継続した「86 & BRZ」は成功したといえるのか? (2/2ページ)

コルベットや911のように「あって当たり前」になることが重要

 86というネーミングの元になったのは、トヨタ・カローラレビン/スプリンタートレノの「AE86」という車両型式であることは言うまでもないことだが、AE86がいまでも愛されるモデルであり続けているのは、中古車になっても愛され続けたことだ。

 いまやAE86の中古車は希少価値から価格が高騰しているが、初代86&BRZの中古車相場は十分にリーズナブルなものとなっている。初代86のデビュー時に「若者向けスポーツカーというのは期待したほど安くない」という批判もあったが、作り手からは「新車は中高年が購入、若者が手に入れやすくなるのは中古車になってからというのが裏テーマです」といった話もあった。

 自動車メーカーの立場としては新車を売ってナンボではあるが、中古車で買いやすくなることがスポーツカー文化を育てるという認識があったのだ。実際、中古車マーケットで86&BRZが手に入れやすくなっているわけで、その意味では86&BRZは手ごろなスポーツカーとして成功したといえる。

 もし、86&BRZが一代で終わっていたら中古車相場が高止まりしていたことは確実で、前段で記したようにビジネスとして成立させることができ、フルモデルチェンジを果たしたことが初代の中古車相場を落ち着かせている面もあろう。

 しかしながら、2代目へと進化して初代の中古車が買いやすくなっているというだけで86&BRZが成功したスポーツカーと言い切ってしまうには、まだ気が早いかもしれない。

 過去の例が示すように、スポーツカーにとって難しいのは継続することだ。

 国産スポーツカーとして最長寿モデルといえるマツダ・ロードスターの歴史は4世代・34年である。

 世界に目を向ければ、ポルシェ911は60周年を迎えているし、シボレー・コルベットは70周年となっている。

 こうしたスポーツカーの先達と比べると、2世代を数えるだけの86&BRZは、まだまだひよっこだ。

 世界的な電動化トレンドによってエンジンを積んだスポーツカーが、今後ずっと生き残っていくのは難しいかもしれない。そうした変革のなかで、パワートレインを電動化してでもスポーツカーとして進化を続け、トヨタとスバルのラインアップにおいて86とBRZが「あって当たり前」の名前になってこそ、スポーツカーとして真の成功といえるのではないだろうか。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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