「apr LC500h GT」を操るドライバーに感想を直撃
以上、金曽氏にLC500h GTの特徴を解説してもらったが、実際のフィーリングはどうなのか? というわけで、aprで31号車、「apr LC500h GT」のステアリングを握るドライバーのひとり、嵯峨宏紀選手にインプレッションしてもらった。
——開幕戦の岡山から31号車としてLC500hをドライビングしていますが、印象としてはいかがでしょうか?
嵯峨選手:昨年までドライビングしていたGRプリウスPHVと比べるとボディサイズが大きくなりましたね。当然、メリット、デメリットはあるんですけど、概ね良い印象となっています。
——ちなみにメリットは?
嵯峨選手:ボディが大きくなったことで床面積も広がっています。空力面でのメリットが大きくて、高速コースではダウンフォースを強く感じることができますね。
——逆にデメリットは?
嵯峨選手:ボディが大きくなったことで、ホイールベースも長くなっていることから小まわりが苦手になっている部分はあると思います。それでも、重量配分が限りなく、50:50に近いので、そこまで小まわりが悪いとは感じないように仕上がっています。
——エンジン、ハイブリッドはGRプリウスPHV GTと同じパッケージだと思いますが、フィーリング的にはいかがですか?
嵯峨選手:ハードウェアとしてはGRプリウスPHV GTのエンジン、ハイブリッドシステムを踏襲していますが、LCになって速いところ、遅いところは違ってくるので、ソフトウェア側でチューニングしながら戦っているところです。ハイブリッドは立ち上がりの初期でパワーを使ったり、逆にコーナーのエンドでパワーを使ったりとバリエーションがあるので、LCにとって一番どこが“おいしい”のか、ドライバーのフィーリングに合わせながら調整していく作業を行っています。
——スーパーGTの開催コースで言えば、どこがLC500h GTに合っていそうですか?
嵯峨選手:中速コーナー、高速コーナーを得意としているのでアベレージ速度の速い鈴鹿やSUGOなんかは得意だと思います。逆にストップ&ゴーのもてぎとか、岡山とかは苦手とする印象ですね。
——いま現在の課題はなんですか?
嵯峨選手:いいマシンなんですが、セットアップを含めて完璧には仕上がっていなくて、ポテンシャルを活かしきれていない状態です。タイヤの使い方を含めて、まだまだ調整しないといけない部分がありますね。
——初優勝まで時間はかかりそうですか?
嵯峨選手:僕らが進化しても、まわりも進化しています。結果は相対的なものが多いので、追いつけ、追い越せでがんばっていますが、苦労したGRプリウスPHV GTよりは早く勝てると思います。
残念ながら第4戦の富士の予選は、“指定燃料以外の使用”により予選タイムが抹消されたことから最後尾からのスタートを強いられたものの、決勝ではapr LC500h GTは素晴らしい追い上げを披露し、5位に入賞。美しいシルエットを持つLC500h GTは存在感が満点で、セッティングの熟成に合わせてさらなる進化が期待されているだけに、シーズン後半戦でもapr LC500h GTの動向に注目したい。