世界で愛される名ワゴンは日本でも使い勝手抜群! フォルクスワーゲンの歴代ワゴンモデルを振り返る (2/2ページ)

少しサイズの大きいパサートも使い勝手抜群!

パサートヴァリアント(ワゴン)

B3(1990年)

 アウディ80をベースに開発された初代パサートが登場したのは1973年。初代、2代目は日本にも導入されましたがセダンのみが販売されています。

 パサートのステーションワゴンが初めて国内販売されたのが3代目。2代目までアウディ80とエンジン縦置きFFプラットフォームを共有していましたが、3代目からエンジン横置きFFレイアウトを採用したことが大きなトピックスです。

 後席を倒したラゲッジ最大容量が1500リットルと実用性は十分。グリルレスのフロントマスクがエクステリアデザインの大きな特徴でした。

B4(1993年)

 4代目パサートが1993年にデビューしましたが、プラットフォームをはじめ多くのメカニズムは3代目から流用されています。

 ステーションワゴンのヴァリアントも引き続き用意されましたが、先代と大きく異なるのがフロントフェイスにグリルが備わったこと。

 グリルレスフロントマスクがユーザーから不評だったことがグリル装着の大きな理由ですが、4代目のマスクは「ハッピーフェイス」と呼ばれ、その後、多くのフォルクスワーゲン車に採用されました。

B5(1998年)

 3、4代目はオリジナルシャシーを装備したパサートでしたが、5代目はアウディA4と共用プラットフォームを採用。再び、エンジン縦置きFFレイアウトとなりました。

 レイアウトが変更されただけでなく、歴代モデルと比べ5代目は大幅な高級化を実現。最上級グレードにはW型8気筒エンジンも搭載されています。

 また、ステーションワゴンはヴァリアントからパサートワゴンに車名を変更。ラゲッジ最大容量は1600リットルに拡大するなど実用性も大きく向上しています。

B6(2006年)

 6代目となったパサートは駆動方式を再度、エンジン横置きFFレイアウトに変更。プラットフォームもアウディA4との共有ではなく、ゴルフⅤ用を拡大したものを採用しています。

 また、ステーションワゴンもパサートワゴンからパサートヴァリアントに再度変更。ラゲッジ最大容量も1731リットルとさらに拡大しました。

 先代に搭載されたW型エンジンは廃止されましたが、最上級グレードとして3.6リッターV6エンジン搭載車も設定。セダン、ワゴンのほかに当時、世界的に流行していた4ドアクーペのパサートCCが新たにラインアップされています。

B7(2010年)

 2010年、6代目のメカニズムはそのままに、エクステリアデザインなどを変更した7代目パサートが登場。先代は「ワッペングリル」と呼ばれるフォルクスワーゲンの特徴的なグリルでしたが、7代目となり横ルーバーのグリルに変更されています。

 ビッグマイナーチェンジともいえるモデルチェンジですが、先代には用意されなかった1.4リッターダウンサイジングターボエンジンを搭載するなど、新たなトレンドも採用。

 ヴァリアントも高い実用性はそのままで質感もさらに向上。インテリアもシンプルなデザインとはいえ木目調パネルとアルミ加飾などにより上質な雰囲気を漂わせていました。

B8(2015年)

 8代目となったパサートの大きなトピックスはゴルフVIIから採用されたMQBプラットフォームを採用したこと。パワーユニットもMQB設計のアルミ製ユニットに変更されています。

 ステーションワゴンのヴァリアントもセダンとともにラインアップ。ラゲッジ容量は最大1780リットルとさらに拡大。ユーティリティ性能はさらに高まりました。

 パワーユニットは先代から引き続き1.4リッター直4ダウンサイジングターボエンジンを中心にラインアップ。現在は1.5リッター直4ガソリンと2リッター直4ディーゼルエンジンがラインアップされています。

 パサートヴァリアントは近々、フルモデルチェンジで9代目が登場すると予想され、新型はPHEVなどがラインアップすると見られています。

アルテオン・シューティングブレイク(2020年)

 フォルクスワーゲンのフラッグシップモデルとして2017年に登場したアルテオン。ワイド&ローのスタイリッシュなプロポーションを備えた4ドアクーペとともに、ステーションワゴンのシューティングブレークが用意されています。

 シューティングブレークは4ドアクーペのデビューから遅れること3年後の2020年に登場。メルセデス・ベンツCLSなどと同様に流麗なステーションワゴンに仕立てられました。

 ラゲッジ容量は565リットル。650リットルを誇るパサートヴァリアントより狭いスペースですが、このクルマは実用性よりスタイル重視なステーションワゴン。4ドアクーペとともに、他のフォルクスワーゲン車が備えていない華やかさを身につけているのが特徴です。

 ただ、アルテオンは近い将来、生産終了となることがすでに発表されています。スタイリッシュなアルテオン・シューティングブレークを新車で手に入れるならいましかありません。

まとめ

 ハッチバックのゴルフ、セダンのパサートをベースにしたフォルクスワーゲンのステーションワゴンは実用性という部分ではとくに注目したい1台です。

 また、スタイリッシュなアルテオン・シューティングブレークも魅力。冒頭にも書きましたが、ワゴン好きにとって多彩なモデルをラインアップしているため、フォルクスワーゲンのステーションワゴンはありがたい存在です。

 ただ、本国ドイツでも他国同様、ステーションワゴンよりSUVの人気が高まっているのが現状。今後、フォルクスワーゲンがステーションワゴンを引き続きラインアップしていくかに注目です。


手束 毅 TEZUKA TSUYOSHI

フリー編集者/ディレクター

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ゴルフ、食べ飲み歩き
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