この記事をまとめると
■ウォークスルー機能を備えた多目的商用車として登場したのが日産アトラスロコだ
■2ドア+観音開きリヤゲートというボディ形状で、利便性の高さから助手席には前方スライド式ドアを採用
■新車当時はキャンピングカーやチェアキャブ(車椅子用車両)や保冷車などを用意していた
小型トラックをウォークスルーバンに架装したアトラスロコ
近年のアウトドアブームによって広大な荷室を持つ車両がキャンパーベースとして注目を集めているが、いま新車で販売されていたら、ベース車として注目を集めること間違いなしな1台がアトラスロコだ。
1992年10月にオーテックジャパン(当時)からリリースされたアトラスロコは、その名のとおり日産の小型トラックであるアトラスをベースとして、ウォークスルー機能を備えた多目的商用車として生まれたモデル。
その特徴は何といってもユニークなエクステリアデザインで、キャブオーバータイプのアトラスに対してアトラスロコはFRP製の一体型カラードバンパーを用いたセミキャブオーバータイプのフロントデザインに改められていた。
ちなみにエンジンはアトラスと同じくフロントシートの下に備わっているため、フロント部分にはバッテリーやブレーキマスターシリンダーなどの補器類が収まるスペースとなっている。
運転席まわりは基本的にはベースとなったアトラスとほぼ同じ意匠となっているが、セミキャブオーバータイプとしたことでステアリングおよびシートバックの角度をより乗用車に近いものとすることができ、乗用車感覚のドライビングポジションを実現している点も美点といえるだろう。
室内は全席と荷室を自由に行き来できるウォークスルー構造となっており、室内高はハイルーフで1865mmと高身長な人でも立って作業ができるほどの余裕となっていた(標準ルーフでは1665mm)。
また、後部は窓なしや小窓付、大型窓付、大型スライド窓付などのバリエーションが存在しており、ユーザーの用途によってさまざまなタイプを選ぶことができるようになっている。
基本的には2ドア+観音開きのリヤゲートというボディ形状となっており、配送業務などでの使い勝手も考慮してか、助手席側フロントドアは前方スライド式となっていて狭い場所でも乗り降りがしやすくなっていたほか、一部仕様では左後部にもスライドドアが備わるものも存在している。
なお、新車当時には特装車としてキャンピングカーのほか、電動リフターを備えたチェアキャブ(車椅子用車両)や保冷車、中温冷凍車、集配バンなど、50種類を超える仕様が設定されていたのも特徴だった。
ただ、搭載エンジンが4.2リッターと2.7リッターのディーゼルエンジンのみとなっていたため、現在はNOx・PM規制地域ではそのまま登録することができないというのが最大の難点。この問題さえクリアできれば、キャンパーやトランポのベース車として欲しいと考える人は少なくないのではないだろうか?