NSUにもあった高性能版の「TTS」
さらに、現代版でも登場したエボリューションモデル、TTSもNSUブランドで作られていました。こちらは、排気量が1000ccクラスのレースマシンで、996ccながらソレックスのサイドドラフトを用いることで70馬力までチューニングされ、最高速は100mph=160km/hを達成したとされています。
小ぶりな4気筒エンジンはリヤコンパートメントに横置きされ、NSUプリンツが実用車だったことを思い出させてくれます。が、レースの際はアバルト695ssなどと同様にリヤフードを少し開けて、より吸気しやすい状態で走るのがデフォ。
また、スクエアで小さなボディながら、タイヤは車体の四隅にレイアウトされる理想的なジオメトリーで、駆動のかかるリヤタイヤは、いまでいう「鬼キャン」セッティングが主流となっていました。現代でも、このNSU TTはヨーロッパ(とくにドイツ)でワンメイクレースが行われており、ヒルクライム(Berg Pokal)にはネガティブキャンバーがかけられたTTの雄姿が見られるかと。
あるいは、サーキットを舞台としたNSU TTトロフィレースで有名な「イエーガーマイスター」は、タミヤからRCカー用ボディも発売されていたので、ご存じの方も少なくないはず。ちなみに、TTトロフィはスロットレースでも人気のマシンなので、ガルフカラーをはじめとした往時のレーサーボディがラインアップしていますので、スロットカー好きはぜチェックを!
さて、NSUプリンツTTは1972年まで生産が続き、上述のとおりレースバージョンから一般的な市販車までさまざまなタイプが生み出されました。その25年後に発表されたアウディTTは、名前こそNSUの活躍に由来するものでしたが、スタイリングはこれまたアウトウニオンのDKWが作ったMONZAという流線形ボディを持ったスポーツカーをオマージュしたとされています。いま見ると「どこらへんが?」って気がしないでもありませんが、2シーターのスリムでコンパクトなプロポーションは、たしかに受け継がれているかと(笑)。
とにかく、4社とか5社が連合してできたアウディは、遺産や伝説には事欠かないブランドといえるでしょう。となると、TTがいなくなったとしても、また新たなレガシーでもってニューモデルが登場すること間違いありません。どんなオマージュが登場するのか、クルマ好きなら目が離せないのではないでしょうか。