大型車両には新しい手段での電動化が必要
リチウムイオンバッテリーや燃料電池スタックの大型車向け改良が進むことも考えられるが、たとえば本田技術研究所では、鉄道のような架線を使って瞬時に大電流を充電し、それを繰り返すことで車載バッテリー量を減らして長距離輸送できる研究を進めている。
これは、単に耐久信頼性だけでなく、原価の高いリチウムイオンバッテリーや燃料電池スタックの車載を減らすことで、トラック価格を抑える効果も見込める。また、少ないバッテリー搭載量によって、荷物の車載重量や容量を減らすことなく、現在の物流を維持する車両とすることもできる。
そもそも原価の高いとされるリチウムイオンバッテリーや燃料電池スタックの耐久性が足りず、走行距離の増加によって何度も積み替えることになれば、それも物流価格を押し上げる要因となり、トラック運転者不足による2024年問題と別に、輸送原価の高騰につながる懸念がある。
既存のディーゼルターボエンジンに、バイオ燃料を使う方法も考えられるが、必要な量を確保するのは、耕地面積の限られる日本では難しく、輸入に依存することになるかもしれない。それでは、地産地消が原則となる脱二酸化炭素に適合しきれない。
小型トラックなどではEV化の道があるかもしれない。だが、大型の幹線物流網については、乗用車の延長ではない新たな着想も必要なのではないか。その有力候補のひとつは、本田技術研究所などが開発している架線を使い走行しながら充電し、モーター駆動で脱二酸化炭素を実現する大型トラックやトレーラーのEV化だと思う。