日本の納期遅延とは別の「新車が買えない問題」が中国で発生! ナンバープレート発給規制って一体何? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■日本でいまだに尾を引いている新車の納期遅延

■じつは中国でも別の理由で新車の納期遅延が発生している

■中国で施行されているナンバープレート規制について解説

中国では取得したナンバーが「一生もの」となる

 現状の日本では、人気車やデビューしたばかりの新型車を中心にした深刻な納期遅延がまだまだ続いており、「注文書を交わしてもなかなか新車が納車されない」というのが新車購入希望者の悩みの種となっている。単純に長い間新車がくるのを待っているだけならまだしも、ここのところは転売目的の人などによるキャンセルも多発しているようで、急に納車が早まり、下取り車の残債処理などが進まず、購入資金確保のために奔走しなければならないという新たな問題も顕在化している。

 一方、お隣の中国でも「新車が欲しいけどなかなか買えない」ということが日常化している。北京市、上海市、広州市、天津市、杭州市などの大都市を中心に「ナンバープレートの発給規制」というものがあるからだ。

 最初に発給規制を行ったのは上海市で、1994年であった。増え続ける自動車台数に対しナンバープレートの年間発給枚数に制限を設けることで増加の抑制を図ろうとしたのである。上海市では限りあるナンバープレートを手にする手段として「競売制」を採用しており、一説では車両代金のほかにナンバープレートを競り落とす際の平均落札額は、日本円で約250万円以上になっているとの情報もある。北京市は2011年1月よりナンバープレートの発給規制をスタートさせているが、上海市とは異なり「抽選制」を採用している。広州市は2012年より発給規制をスタートさせているが、こちらは競売制と抽選制の両方を併用している。

 たまたま、広州市で発給規制がスタートした直後に広州市を訪れ、その際に現地にて中古車販売ビジネスを行っていた日本人に話を聞くことができた。すると、発給規制開始の前日午後10時過ぎに、市内の自動車販売業者が市政府により一同に集められたそうだ。そして、明日午前0時(つまり集められた数時間後)よりナンバープレートの発給規制をスタートするとの通告があったそうだ。

 中国というお国柄もあり、大抵のことは事前にリーク情報が出まわることが多いそうだ。そうなると、たとえば情報をつかんだ一部業者が発給規制スタート前に大量のナンバープレート取得に走ってしまうことが想定できたので、「通告即制度スタート」ということになったようだとも当時話してくれた。

 中国のナンバープレートは取得すると、それがいわば「一生もの」となり、代々のマイカーに使用することになる。競売か抽選かの違いはあるものの、たいていは市内に「都市戸籍」を持っている市民が基本対象となり、家族に1枚(つまり複数保有は認めない)など、まず厳しい取得条件がある。

 また、制度スタート直後には、転売目的で競売に参加したり、運試しで抽選に参加し、新車を買うつもりもないのに当選してしまった人が相次いだ。北京辺りではこの運試し派が多すぎて、さらにマイカーを手にするのに時間がかかったといった話も聞いたことがある。最近ではどの都市でも、権利を取得してから一定期間内に新車を購入しないと権利が消滅するといったきまりを設けているようである。

 晴れてナンバープレートを取得し新車を購入すると、一定期間内の車両転売を禁じる条項などもあり、ナンバープレートは厳しく管理されることになるようだ。

 ナンバープレートが一生ものであり、ナンバープレートの複数保有は認められないので、いままで乗っているマイカーがあれば、その車両を処分してからでないと新車への乗り換えができない。そのため、制度開始当初の広州市で話を聞くと、当時すでに広州市あたりでは新車の乗り換え需要も目立ってきており、いわゆる下取り車をいかに早く処分できるかが「売れるディーラー(またはセールススタッフ)」の秘訣になっていたとのこと。当時は会社を通さずにセールススタッフ個人が下取り車を転売し、中抜きして持ち主に売買代金を渡すのが当たり前だったともいう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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