この記事をまとめると
■輸入車になるとやけに整備費用が高くなる
■整備側目線ではオーナーとのトラブル回避や部品の希少性が工賃の高い主な理由となる
■実際に輸入車は構造が国産車よりも複雑で作業量が多いということも影響している
時間工賃が国産車よりも高い輸入車
国産派の意見としてあるのが、「日本車は維持するのが安くて、輸入車は高い」というものがある。舶来品的な扱いがいまでもあるのか、確かに輸入車を維持するのは国産車に比べて高いのは事実だ。パーツが高いのは、為替や在庫コスト、販売台数が少ないことによる量販コストなどが関係しているのはわかる。しかし、クルマとして構造に大きな違いがない、日本車と輸入車でなぜ差が出るのだろうか。
まずは単純に輸入車のほうが時間あたりの工賃が高いことが多い。とくに高級ブランドともなると気を使うし、高いほうがプレミアム性を演出できるというのは実際あるだろう。時間あたりの工賃を時間工賃やレバー率などというが、国産では時間あたり1万円ぐらい。輸入車は1万5000円以上はざらだ。
ユーザーへの対応にも気を使うことが多いので、高く設定されていることが多い。つまり、うるさ方を相手にしないといけないし、そうでなくても「そうである可能性が高い」から、保険的な意味合いとして工賃を高くしておこう、という心理的なものはあるのかもしれない。
さらに、修理中やメンテナンス中にはなにが起こるかわからない。輸入車は材質が特殊だったり、作りが国産車と違って面倒そうだったりという印象によるところも大きい。やってみると実際にそうではなくても、「そうかもしれない」というだけで、高く設定されていることがままある。タイヤやオイルの交換工賃などがそうだろう。
最後に、本当に面倒だから高くしておくというのもある。たとえばオイル交換はそれぞれノウハウがあるプロが行なえば、30分で済むとしよう。そうすると時間工賃は半分となるのだが、輸入車は慣れたプロが行なったので国産と同じ30分で完了したとはいえ、カバーを外したり、ドレインの場所が狭いところにあったり……。また、油量の判定が難しかったりなど、手間がかかることが多いこともよくある。工具も国産とは違うサイズが多用されていたり、専用の特殊工具が必要だったりと、これらを揃えるコストもかかる。
手間がかかるということは、修理完了後にトラブルが起こるリスクもあるし、最近の高級ブランドでは原因不明のトラブルも珍しくない。そうなると、予め工賃を高く設定して備えておかないと割に合わなくなるのは当然のこと。国産車のメンテナンスのしやすさへの考慮はかなりレベルが高くて、逆に輸入車は直すことを考えていないのか? と思うクルマもいまだに多かったりするので、仕方がない部分でもある。
結局は国内での台数は少なくて、日本車のように直しやすいわけでもなく。また、ありえない壊れ方をしたり、原因がなかなかわからなかったり、それに対してメーカーのフォローは海外製だけに万全でなかったり……。お客もこだわり派やうるさ方などが多かったり、国産車とは違う部分が多々あるだけに、高いのは仕方がないのかもしれない。