この記事をまとめると
■アルファード&ヴェルファイアの優れているポイントのひとつに室内高の高さがあった
■全高が15mm低くなった新型アルファードでは先代よりも室内高も低くなっている
■それでも圧倒的な頭上空間は健在で大空間サルーンとしての高い価値に疑いはない
数値上で気になっていたのは新型で低くなった室内高
新型アルファード&ヴェルファイアの室内寸法を見て、「おやっ」と思ったことがある。それは室内高。先代アルヴェルが2017年12月にビッグチェンジを行った際、直接的ライバルの日産エルグランドに対して人気、売れ行きともに圧倒的な差をつけている理由を開発陣に聞いたところ、デザインやハイブリッドのラインアップ、2列目席の選択肢の豊富さ、グレードの豊富さから先進運転支援機能の充実度はもちろんとして、「そのひとつに室内高の違いがある」という答えだった。
つまり、トヨタの回答としては、室内高1400mm(先代)が、エルグランドの1300mmに対して高く、それが乗り込んだときの室内の広さ、解放感、さらには豪華なシートとあいまった居住感の良さに直結するということなのだろう。実際、売れているMクラスボックス型ミニバンのノア&ヴォクシーやステップワゴン、セレナの室内高はピタリと1400mm以上なのである。天井も低い低全高ミニバンがいつしか駆逐されたのも、きっと同じ理由に違いなく、エルグランドについては、室内にミニバンらしい天井の高さ、広さを感じにくいことが、人気、売れ行き不振の理由のひとつだったはずである。
ところがだ、新型アルファード&ヴェルファイアの室内高は、な、なんと1360mmに減少している。おそらく、新たに採用したTNGA GA-Kプラットフォームの骨格が太く、たとえば室内長側にしても、何もしなければインパネは先代比で後方70mmに下がってしまったらしい。それをミニバンの着座位置の高さを利用して工夫し、先代比後方25mmまでに収めることが可能になったという。
同じように、先代比-15mmの全高1935mmとした新型アルファード&ヴェルファイアの室内高が、全高とボディ骨格分によって、40mm低まったのは、致し方ないことかも知れない。それを解消するための無闇な全高の拡大はもちろんNGだ。
で本題だが、先代と比べ、新型の室内空間、とくに天井方向が低く感じるかと言えば、たしかに先代ほどの天井のスカッとした高さ感は、ない。というのも、先代までは後席エアコン吹き出し口や読書灯スイッチなどが天井のあちこちにちりばめられていたのに対し、新型は天井中央に幅広なスーパーロングオーバーヘッドコンソール(エグゼクティブラウンジに標準装備、Z系はオプション)が設けられ、そこに読書灯(エグゼクティブラウンジ)、後席用LEDドームランプ、LEDカラーイルミネーション、天井エアコン吹き出し口、天井収納ボックスなどを集約。その分の出っ張りが、天井高(室内高)を低めているのだ。
とはいえ、新型の後席はプライベートジェット感覚が売りであり、その点ではスーパーロングオーバーヘッドコンソールの存在はなくてはならないデザイン、そして便利さと言っていいだろう。