この記事をまとめると
■三菱が新型トライトンを発表
■日本にも2024年初頭に導入されると発表された
■日本ではあまり売れないピックアップトラックだがトライトンには勝算があるという
トライトン、じつは勝機がある!?
三菱は、タイの工場で生産するピックアップトラックの新型トライトンを輸入販売する。2023年7月下旬時点で、三菱の販売店は「国内の発売時期は不明だが、扱うことは間違いない」としている(先日の発表で2024年初頭に日本導入を発表)。
新型トライトンは、クリーンディーゼルターボエンジンからラダー(梯型の)フレームまで、さまざまなメカニズムを刷新させる。まさに注目の新型車だ。
ただし、ピックアップトラックは、日本では売れ行きを伸ばしにくい。かつて三菱は、初代トライトンを2000年代にタイから輸入販売したが、売れ行きが伸び悩み、約5年間の累計登録台数が2000台程度だった。そのために2代目は輸入されず、新型は3代目になる。
現在、ピックアップトラックとしては、トヨタハイラックスがタイ製を輸入販売しているが、2023年1〜6月の1カ月平均登録台数は950台前後だ。この販売規模は少なめだが、ハイラックスは価格が高い。直列4気筒2.4リッターのディーゼルターボエンジンに加えて、悪路で駆動力を高める副変速機を備えた4WDも備えるから、もっとも安価なXでも352万7000円だ。Z・GRスポーツは431万2000円に達するから、高価格車の部類に入る。
そして、トヨタ・カムリの1カ月平均登録台数が約700台、GR86が約1000台といった数字になることも考えると、350〜430万円のハイラックスが1カ月平均で1000台近く売れるなら、導入する価値は十分にあるわけだ。
また、現行ハイラックスが発売された2017年頃は、国内市場の縮小が長期化していた。しかも当時のトヨタは、いまに比べてSUVの車種が少なかった。先代ハリアーは2013年の発売で売れ行きが下がっており、C-HRも息の長い人気車になるかわからない状況だった。そこで新しい需要の掘り起こしも狙って、ハイラックスを悪路向けのSUVとして改めて国内市場に復活させた。
トライトンの発売にも、同様のことが当てはまる。三菱は1982年に登場した初代パジェロのヒットでSUVのイメージが強いが、いまではパジェロは販売を終えた。アウトランダーは設計の新しいSUVだが、エクリプスクロスの登場は2018年に遡り、RVRは2010年だ。SUVの設計が古くなってきた。
しかもアウトランダーやエクリプスクロスは、前輪駆動のプラットフォームを使ったシティ派SUVに分類される。かつてのパジェロのように、悪路での駆動力を高める副変速機を備えたSUVは用意していない。以前の三菱には「硬派なSUVメーカー」のブランドイメージもあり、そこを補う意味でもトライトンを導入する。つまりイメージリーダーカーの役割も担っているわけだ。