全面が液晶化されたインパネによる圧倒的未来感 ■コクピットは宇宙船のようだ MB.OSを搭載したことで、見えるところで変わったのが、デジタルコクピットだ。まるでスターウォーズに出てくる宇宙船のようなデジタル化されたコクピットは、その日の気分で模様替えできる。まるでTVのチャンネルを変えるような感覚だ。音声認識は日本語訛の英語でもよく反応し、カーナビの目的地検索はおどろほど速い。とにかく「Mercedes.OS」のポテンシャルは素晴らしいが、2025年頃に発表される次期型BEVからフルにMB.OSが搭載されるらしい。
メルセデス・ベンツEクラスのインパネ 画像はこちら
試乗したモデルはいずれもセダンだが、メルセデスはセダンこそが、高級車の原点だと考えている。なかでもEクラス はミドルクラスとして70年の歴史があり、Sクラスよりも長い。中継地点に用意された戦後のミドルクラスのモデルはW170。このモデルは旧式ディーゼルだ。
メルセデス・ベンツEクラスのフロントスタイリング 画像はこちら
当時のガソリンエンジンに機械式直噴が使われたことから、そのドイツ語の頭文字「E」が使われたので、この時代のメルセデスがEクラスの1代目となる。今回は初代から数えて11代目とのこと。
このストーリーからもメルセデスにとってEクラスがどれほど重要なのか理解できる。
■安全・快適がメルセデスのコア・バリュー 欧州では2035年にエンジン車禁止という方針が最近になって撤回されたことで、エンジンの進化は止まらない。今回の新型Eクラスでも、ガソリンターボ、ディーゼルターボ、プラグインハイブリッドとエンジンの品揃えは豊富だ。
メルセデス・ベンツEクラスのエンジン 画像はこちら
E 200はベースモデルであるが、前後エア・サスペンションのおかげで乗り心地は素晴らしいく、軽快に快適に走ることができた。48VとISGのおかげで、気づかないうちにエンジンが停止し、アクセルペダルを踏み込むと自然にエンジンは息を吹き返す。クルマが止まるとエンジンは停止するが、走りだしはモーターでタイヤを駆動し、エンジンはあとから自然に始動する。
個人的にはE 220 dのディーゼルが気になる。オーストリアに来る前に、現行E 220 dで東京と京都(丹後市)を無給油で往復した。総走行距離1260kmで消費した燃料は62リットルで、燃費は20km/L。ほとんど高速走行だが、ACCは120km/h区間も含めてADASも使いやすい。にもかかわらず、フルモデルチェンジするメルセデスはいいクルマを作るという製品への執念が人一倍強いと思った。
メルセデス・ベンツEクラスの走行シーン 画像はこちら
新型E 220 dは旧型と同じエンジンだが、ADASが進化していた。欧州では規制速度を認識する技術が義務化するなかで、ACCを使うと、郊外から街なかまで規制速度にアダプトする。速度が90-70-50-30と変化するリアルな交通環境では、自動的にACCが対応する。カメラで標識を読むだけはなく、地図に仕込まれているデータと連携するようだ。
長距離を走る人にはやはりディーゼルだが、本格的な電動モデルを求めるなら、自宅で充電できるプラグイン・ハイブリットE 300 eも良さそうだ。新型のPHEVはEV走行が100kmと長いから、都内で使う人はスタンドいらず。だが、日本では電気代もガソリン代も高騰しているので、どっちがお得なのか、ChatGPTに聞いてみるのもいいかもしれない。私なら迷わずE 220 dの4MATICを買う。
メルセデス・ベンツEクラスの走行シーン 画像はこちら
伝統的なメルセデスの良さとデジタル化による新価値が融合する新型Eクラスは、あらためてセダンの価値を再発見した気分だ。
メルセデス・ベンツEクラスクラスの諸元表 画像はこちら