天然氷と絶景を探し求めてはるばる片道200km以上の旅へ
では、今回のメインテーマである「映え活」に話を戻そう。
この謎イベントは、カングーの武器でもある観音開きの「ラゲッジ」が主役である。そして企画テーマにも「ラゲッジを使って……」という条件があった。
なので、自ずとカングーのラゲッジを使って何かをすることが求められる。編集部では「ラゲッジ越しに絶景を撮る」「ラゲッジを夏祭りっぽくする」「ラゲッジを使って動画を撮る」などなど、さまざまな意見が出た。が、「最終的には井上に任せる!」と、なんとも投げやりな雰囲気でまとまってしまった。
なので、これらの意見をまとめ個人的に出した答えが「ラゲッジで夏祭りをして絶景を写す」と、なんとも欲張りな内容に決定させてもらった。しかし、ただやるだけでは面白くない。素材も機材もこだわってこそ一流というもの。かの黒澤明監督も、「映像に映らないが置いてあるタンスの中にも物を詰めろ!」と言った伝説があるほど、物にこだわるのは作品作りにおいて重要だからだ。
で、今回ラゲッジで使うものは何かというと夏の風物詩である「かき氷」だ。もう見てるだけで涼しい夏の王者だ。筆者、じつは愛車でかき氷屋をやってみたい野望があったので、今回はその野望をカングーで叶えてやろうじゃないかと思い立ったわけだ。編集部内で出た「カングーで夏祭り」というヒントも生かした形だ。
そして実際作品内で使うかき氷機は、筆者の父親がレストアした昭和に実際に作られた鋳物のかき氷機(超重たい)。これはその辺のかき氷機では達成できない究極の氷が削れるのだ。そして雰囲気もいい。これを使わない手はない。ちなみに筆者の実家はかき氷屋ではない。
そして今回は氷にも徹底的にこだわった。日光の「松月氷室」さんという蔵元が実際に冬に池を凍らせて、丹精込めて毎年手作りで作っているという正真正銘の天然氷を使うことに。これはとても貴重な氷だが、一般に販売もしているとのことなのでこれに決まりだ。究極に透明でツヤッツヤ。そしてキンキンに冷えているまさに芸術品。価格もなかなかだが、この作品とも呼べる氷を見ればそんなことは忘れるレベル。
調べたところ、実際に”手作りの天然氷”を売っているところは業販を除いてほぼ皆無だったので、本当に貴重な氷と言えよう。とはいえ、その貴重さが写真では伝わらないかもしれないが……。ちなみに、1年で6万貫ほど生成できるそう。店舗でも食べることができ、当日は整理券を発行するほどの長蛇の列が……。
そして最後はロケ地。ここも”超”重要な要素。「駐車場でカングーのラゲッジを使ってかき氷を作る絵」なんてなにも面白くないからだ。なので、編集部内でも意見として出てきた「絶景」である必要がある。そこで今回は、筆者がずっと前から行きたかった”川の中を走れる唯一無二の道路”というのが福島にあることを思い出す(通称:いわきの洗い越し・内郷白水河川道)。ここしかない。「そこにカングーを沈めてやろうじゃないか」とふと思い立ったのだ。何度かすでに写真に写っている場所がそこだ。連日の酷暑、このインテリカングーだって水浴びがしたいはずだ。
ちなみに、「こんな場所にクルマで入っていいのか?」とのコメントもインスタにいただいたが、ここは立派な道路の一部なので問題なし。隠れ人気スポットでもあるほどだ。当日もミニバンなどを川に入れて遊んでいる家族連れがチラホラいた。気になった人はぜひ調べてみてほしい。
さて、この場所は自然が相手なので増水などが心配であったが、当日は超がつくほどの快晴。氷も開店と同時に仕入れることができたので準備は万態だ。
現地は平日ということもあり、水遊びをしている家族が数組いたが、目立った混雑もない。カメラマンには「あぁじゃないこうじゃない」と指示をし、さまざまな角度でアングルを決め、筆者はひたすらカングーのラゲッジでかき氷を削りまくる! このときはWEB CARTOP編集部井上ではなくかき氷屋見習い井上であった。
にしても、キンキンに冷えた極上の天然氷のかき氷に夏の空、そして川に沈んだカングーと小さな滝。あまりにも涼しい。これぞ日本の夏といった図が見事に完成したではないか!(カングーはフランス車だが……)。
カングーのラゲッジは程よい高さと商用車として申し分ない広さがあるので、大型なかき氷機も楽々収まる。本当にこのままかき氷屋ができてしまいそうだと、カングーの購入と転職を考えてしまうレベルだ。
ただし、もし新型カングーがうちに来た暁には、先述のホワイトカラーではなくかき氷屋になること確定である。残念ながらこれ以外の使い道が思い浮かばない。それほどに相性がいい。
さて、そんなこんなで、カメラマンの協力もあって無事に終わったカングーの”映え活”であるが、この作品はルノージャポン公式インスタグラムで絶賛公開中である。
「いいね!」の数が多い写真は表彰されるとのことなので、是非この記事を読んだそこの読者には「いいね!」を押してもらいたい。少なくともお隣のデスク、筆者の古巣である雑誌CARトップチームには負けられない!
あまり承認欲求は強い人間ではないが、今回ばかりは承認欲求モンスターにならせてもらう。読者の皆様、よろしく頼みますよ! 注目の作品は下記URLにてご確認あれ(スマートフォンアプリでの閲覧推奨)。
https://www.instagram.com/p/CvdwMIPtrnG/?igshid=MTc4MmM1YmI2Ng==
なお、コンテストは36チーム中13位でした。たくさんの「いいね!」、ありがとうございました。